2007年の活動

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■2007.10.11 ミャンマー政府への要請文

フェミニスト議員連盟では、ミャンマー政府に対し以下の要請文を出しました。

2007年10月11日

駐日ミャンマー連邦
特命大使 フラ・ミン様
武力弾圧に関する緊急要請

武力弾圧に関する緊急要請

全国フェミニスト議員連盟代表 村上香代子(埼玉県三郷市議)
瀬野 喜代(東京都荒川区議)
事務局 : 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-27
TEL / FAX : 03-3253-0092

去る8月以来、石油価格の高騰に端を発し各地に拡大した反政府行動に対し、ミャンマー政府は、治安維持部隊を出動させ激しい弾圧を行いました。非暴力の平和的な抗議のデモにも関わらず、僧侶・市民に多数の死傷者を出し、日本人ジャーナリストの長井健司さんが、至近距離で撃たれ、犠牲となりました。

私たちは、このような流血の惨事を招いた軍部による弾圧に強く抗議いたします 。

女性の声が政治に反映されることを願って結成された私たち全国フェミニスト議員連盟は、これまでも在日ビルマの女性たちの民主化と平和を求める活動に深く共鳴 し、支援を惜しみませんでした。1990年から今日に至るまで民主化運動指導者のアウン・ サン・スーチーさんは不当に拘束されています。1日も早く解放されることを強く要求します。

また、今回の弾圧によって拘禁された多くの僧侶・市民に対し、拷問や虐待を行わないこと、速やかに無条件釈放することを切に求めます。

ASEAN諸国はこのたびの事態に強い懸念を表し、国連も特使を送り、武力弾圧の停止や民主化勢力との対話に向けた調停を行っています。ミャンマーの人々の人権が尊重され、表現の自由、集会の自由等が認められ、国際社会においても平和的・友好的な関係が構築されることを願います。


■9月 ヌエックジェンダー交流フォーラム「女性議員を増やす方法」


■2007.08.23、24 韓国女性リーダー訪問団と意見交換会

全国フェミニスト議員連盟 国際担当 木村民子、孫明修
韓国では急速に女性運動が進み、あらゆる分野において女性の地位向上が図られており、企業等も積極的に支援しています。このたび、韓国女性労働者の会協議会や、韓国女性民友会など韓国全土250以上の女性団体を結集している韓国女性団体連合のトップや女性国会議員が来日するにあたって、日本の女性団体や女性リーダーたちとの意見交換を希望しています。

グローバル化経済のもと、女性雇用の問題、賃金格差、少子化対策、介護労働など日本の状況も多くの課題をかかえており、韓国の女性たちとこれらの問題意識を共有することにより、問題解決の方法を探りたいと思います。

また、これを機会に韓国と日本との平和的な友好関係を築き、共に活動していくことを念願しています。

1.訪日日程:
 8月23日(木) 16:30 – 20:30
  日本の女性団体との意見交換会と懇親会
 8月24日(金) 18:30 – 20:30
  日本の国会議員及び女性リーダーとの懇談会

2.会場:女性と仕事の未来館(東京都港区)
 第1、第2セミナー室

3.訪問団メンバー
(1) チョン・ヒョンベクさん(韓国女性団体連合)
(2) キム・ジョンスさん (南北女性本部共同代表)
(3) イ・ミギョンさん(国会議員)
(4) チョン・ギョンランさん (平和をつくる女性の会)
(5) アン・インスクさん(太田女性民友会)

Report

韓国女性リーダー訪問団との意見交換会

平和や女性の問題を率直に話し合い、東アジアでのネットワークを構築しようという呼びかけで来日された韓国女性リーダーたちと日本の女性NGOとの交流会が、全国フェミニスト議員連盟(国際担当)のコーディネートで、8月23日、24日の両夜、女性と仕事の未来館において開催された。

韓国側からは韓国女性団体連合代表のチョン・ヒョンベクさん、平和をつくる女性の会のチョン・ギャランさん、そしてテジュン女性の会のアン・インスクさんたちが出席。国会議員のイ・ミギョンさんは直前まで来日が危ぶまれていたが、何とか午後の便で到着、懇親会には間に合って一同も一安心。日本からの参加団体は10団体、20名あまりの参加者で、総勢30名による意見交換が行われた。

まず韓国からの「女性六者会議」の提案説明があった。「これは朝鮮半島の非核化および平和体制の構築など、東北アジアにおける平和の実現について議論を交わすために6カ国(韓国、日本、中国、ロシア、北朝鮮、米国)が一同に会する会議である。植民地と冷戦の経験を経て、女性たちが互いに対する誤解と不信を緩和し、理解と信頼、シスターフッドと協力を積み上げていくべく出会いの場としたい」ということで、2008年8月にソウルで開催する予定だそうだ。

特にヒョンベクさんは北朝鮮と韓国との関係改善が進んでおり、日本も拉致や慰安婦問題等非常に難しい局面があるが、政府首脳男性たちの6カ国会議にまかせておくのではなく、平和構築に女性たちもコミットすることが大事と強調された。

これに対し日本側からも各団体から自己紹介をかねて会の活動内容のあらましと平和への取り組みの抱負などが語られた。なお、特別ゲストとして参加したビルマ女性連盟日本支部代表のチョチョアイさんも軍事政権の横暴さを切々と訴え、一同、目が開かれる思いだった。「女性六者会議」については、まだ現実味が薄いが、韓国女性たちへの熱い思いには強い感銘を受けたようだ。

30分も意見交換が延長したが、懇親会でも引き続き熱心な対話の輪がいくつかできて親しさが増したようだ。最後に韓国の方々からお礼の挨拶があり、お土産までいただいた。通訳は急遽一人でしなければならず、クム・レイカさんの負担は大変だったが、大変実りの多い交流会となった。

第2夜として、韓国側からの希望で国会議員と日本のトップリーダーの方々との意見交換会もセッティングした。参議院選挙後の大変忙しい中、民主党の小宮山洋子議員と社民党の福島瑞穂議員が次々と駆けつけてくださった。

イ・ミギョン議員は、まず、このたびの参議院選で日本の民主党から14名の女性議員が当選したことは素晴らしい、と称え、激動する韓国国会の最新ニュースを伝えてくれた。「ウリ党が分裂し、進歩的な勢力として統合民主党が結党されつつある。韓国では12月に大統領選を控えているが、この10年間は、改革的民主的な大統領により、平和の礎ができ、女性の権利や男女平等が進んだ。今後は朝鮮半島の問題を平和的に解決することが第一義である」などと語られた。

ヒョンベクさんは、「女性六者会議」の提案とともに、北朝鮮の対応については日本がアジアの中で孤立しないように経済的交流を進めていく過程で、核問題も解決していけるのではと問題を提起された。

ミャンマーとカンボジアを視察したばかりの小宮山さんは、朝鮮半島の平和のために女性たちが力を合わせていくことは重要。拉致問題の解決とは別に核の問題で日本の果たす役割は大きいと述べ、先に退出された。

福島議員は弁護士としても戦後保障に関わり韓国には何度も行っている。日本は安倍政権になってから、バックラッシュがひどく、慰安婦の記述が教科書から消されたり、平和憲法を変えようとする動きが起こっている。社民党は北朝鮮と交流があったため、拉致問題でバッシングを受けたが、2000年に北東アジア安全非核構想を発表し、進めてきた。今後、6か国協議の進展はアジアの平和にとって望ましいことだと強く思うと述べられた。

大阪からお帰りいただいた樋口恵子さんは、軍国主義的な石原候補に対し、平和を訴え戦った前々回の都知事選の出馬体験を語られた。そして、6月に開催された「女性の視点から高齢化を考える」という国際会議の模様を説明され、韓国も準備を進めている介護保険や女性の貧困などの問題に言及、これからも韓国との交流を深めていきたいと語った。

最初から参加された産科医で女性と健康ネットワークの堀口雅子さんは、慰安婦問題は本当に申し訳ないと詫びたあとで、女性が健康でなくては次の世代に引き継げないと述べた。韓国の女性たちの状況は変わったかという質問に対しては、以前と較べたらよくなったと皆さんから即答が返った。こうして、またしても時間ぎりぎりまで熱心に率直な意見が交わされた。

報告 木村民子


■8月 「松戸市男女共同参画プランの評価システム」研修


■2007.07.08 参議院選挙『各政党に聞く』女性議員比率を高めるために

全国フェミニスト議員連盟では、参議院選挙にあたり、各政党に女性議員をどのように増やそうとしているのかについて、アンケートを実施いたしました。

アンケート内容

アンケート


全国フェミニスト議員連代表 村上香代子(埼玉県三郷市議)
瀬野 喜代(東京都荒川区議)
事務局 : 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-27
TEL / FAX : 03-3253-0092

私たち、全国フェミニスト議員連盟(http://www.afer.jp/)は、男女平等社会をめざし、政策決定の場への女性の参画をすすめるために活動を続けている超党派の議員と市民の団体です。

列国議会同盟の世界女性国会議員比率ランキングによると、現在、日本は189ヶ 国中130位というあまりにも情けない状況です。私達は、いままで各政党に対 しクオータ制の実現を求め、党内の決定機関ならびに議員の40%を女性にするよう、要請してまいりました。貴政党としても男女平等社会の実現のため、さまざまな努力をされていることと存じ ます。

7月の参議院選挙にあたり、直前のアンケートで申しわけありませんが、以下の点についてお答えください。7月10日までに、メールにて返信くだされば幸いです。

  1. 参議院選挙予定候補者における女性の割合
  2. 女性議員が世界最低クラスであることについての見解
  3. 女性議員を増やすために政党として努力されている内容
  4. あればマニュフェストでの男女平等政策の内容

アンケート回答結果

1) 参議院選挙予定候補者の女性割合

予定候補(公認)は比例区17人中女性8人、選挙区46人(推薦の沖縄選挙区を除く)中女性14人。合わせて63人中女性22人で、予定候補者中の女性の割合は34.92%で す。

2) 女性議員が世界最低クラスであることについての見解

日本は、女性の社会的地位を平均寿命や教育普及などではかると、世界13位ですが、国会議員や企業管理職などへの女性の進出度は75カ国中42位と、先進諸国では最低です。私たちは、人口の半分をしめる女性が国会や地方議会に進出することは、社会のあらゆる分野での男女平等にとって重要な課題だと考えています。
女性議員が増えていくためには、一つは、それぞれの政党が女性の力を正当に評価し、積極的に女性候補を擁立することが重要だと考えます。同時に、女性議員の割合の低さは、日本の社会全体の男女平等の遅れ、女性の地位の低さの反映ですから、女性が当たり前に社会活動、政治活動に参加できる社会的条件を整備することも必要です。また、選挙制度を民主的に改革することです。スウェーデン、フィンランド、ノルウェーなど女性国会議員割合の高い国は比例代表制ですが、民意を正確に反映する制度である比例代表制が重要です。世界でも例がない異常に高額な供託金制度の是正も必要です。

3) 女性議員を増やすために政党として努力されている内容

私たちは、党の活動として、国政でも地方政治でも、女性の要求を実現するための政策提起と運動をひろげることを重視しています。現在、女性党員は40万人の党員の4割をしめており、こうした活動・運動を通じて、周りの方々の信頼を得て、国政、地方政治の場ですぐにでも活躍できる力量を備えた女性党員がたくさんうまれていると考えています。4月のいっせい地方選挙でも、日本共産党の立候補者の約37%、当選者の約39%が女性となっています。
また、党機関のなかで女性役員を増やすことや女性幹部養成のための学習講座な ど女性幹部の計画的養成を心がけています。議員や候補者活動にあたっては、女性がおかれた社会的条件を考慮し、子育て中の候補者などには家庭の状況に応じて、援助の努力をしています。

4) あればマニフェストでの男女平等等政策の内容

私たちは、「『たしかな野党』としてくらしと平和をまもりぬきます――2007 年 参議院選挙にのぞむ日本共産党宣言(12の重点政策)」を発表しています。その12の重点政策の一つとして、「『男女平等』からの逆行許さず、社会のすみずみ に『両性の平等』を実現」することをかかげています。また、各分野の政策の一つとして「男女平等」の政策を発表しています。

さまざまな分野で力を発揮し、その活躍は確実に広がっているにもかかわらず、国際的にもあまりに低い地位の現状、改善の遅れとともに、憲法を改定しようとしている勢力が憲法24条にもとづく両性の平等、女性差別の撤廃を社会の目標にすることそのものを敵視し攻撃を加えている今日の情勢をふまえ、「男女平等」 からの逆行許さず、社会のすみずみに「両性の平等」を実現するための政策として発表したものです。

具体的には、①女性差別撤廃条約の批准国にふさわしく民法の見直しやILO パート条約、選択議定書の批准をおこなうこと、②パート・派遣などの均等待遇、間接差別の範囲の見直し、強力な救済機関の設置など職場の格差や差別の是正をはかること、自営業・農業にたずさわる女性の労働を正当に評価し、支援すること、③母子家庭の生活と就労支援を強めること、④安心して仕事も子育てもできる労働条件の改善、保育・学童保育所などの拡充による働く女性の応援、⑤生涯をつうじての女性の健康を保障する総合的な対策をすすめること、⑥女性の年金の改善など高齢期を安心して暮らせるようにすること、⑦DV防止・自立支援 の充実、セクハラの根絶など女性の人権をまもること、⑧女性の政策・意思決定機関への参加の促進、などを提案しています。


1) 参議院選挙予定候補者の女性割合

15%

2) 女性議員が世界最低クラスであることについての見解

参議院における女性議員の占める割合は、平成元年に行われた選挙で8.7% から13.1%に増加し、19年4月現在で14.3%と徐々に増えてきてはいるが、諸外国と比較するとまだまだ低いといわざるを得ない。もっと多くの女性議 員が進出すべきと考える。

3) 女性議員を増やすために政党として努力されている内容

今回参議院選挙では比例区においてこれまでで最多の10名を公認した。また、前回総選挙から候補者公募を強化するなどして女性にも数多く応募してもらうなどの対応をしている。

4) あればマニフェストでの男女平等等政策の内容

出産・育児期を通じてキャリアの継続に向けての支援を強化するとともに、子育てしながら再就職を希望する方からの相談に応じる「マザーズハローワーク」 を全国展開する。また、母子家庭等の自立を促進するため、子育て・生活支援、 就労支援、養育費の確保、経済的な支援等の総合的な母子家庭対策を推進する。


1) 参議院選挙予定候補者の女性割合

24%

2) 女性議員が世界最低クラスであることについての見解

人口の半分は女性なのに、国会議員(自治体議員も含めて)は男性が大半を占めています。女性議員を増やさないと、女性の声が政治の場に届かず、女性が抱えるさまざまな問題がなかなか解決・前進しないと思います。議会での男女平等が進んでいる国のように、日本でも、女性に一定の議席を割当てる「クォータ制度」を導入し、法律や政党の綱領のなかに明記していかないと、議会における男女平等の実現は困難です。また、女性が立候補しやすくなるよう、選挙制度や 社会環境も変えていく必要があります。

3) 女性議員を増やすために政党として努力されている内容

社民党は、党則に「クォータ制の原則」の条項を明記しており、各議会の候補者などに女性や社会的に弱い立場の人たちの一定比率を保障するよう努めています。また、女性のための政治スクール開催などで、候補者の育成にも取り組んでいます。政策面では、選挙区制度の見直しや立候補休職制度の導入、公務員を可とするなど議員資格の見直し、供託金の引き下げなどを検討し、女性が立候補しやすくなる制度に変えていきます。

4) あればマニフェストでの男女平等等政策の内容

社民党は、真の男女平等社会を実現するためには、女性の生涯を考えたあらゆる面での政策を充実させることが大事だと考えています。男女間の雇用格差をなくし、働きながら男女ともに子育てできる環境づくりや社会保障制度の充実、女性が個人として尊重される法律・制度づくりや女性の政治参画・社会参画をサポートする環境づくりなど、総合的な政策を掲げています。

【マニフェストでの政策】
・女子差別撤廃条約の早期批准を実現
・あらゆる意思決定過程への女性参画50%をめざす
・「セクハラ禁止法」の制定
・DV被害者支援策の強化
・民法改正の早期実現(婚外子差別の禁止、再婚禁止期間の見直し、選択的夫婦別性の実現など)


1) 参議院選挙予定候補者の女性割合

公認候補 女性19人(選挙区11人、比例区8人)
推薦候補 女性3人
公認女性比率 = 23.8% (19 / 80)

2) 女性議員が世界最低クラスであることについての見解

日本では、まだ女性が「責任のとれない性」であるかのような考えや、女性に対する固定観念に基づく社会制度や慣行がさまざま存在し、それが女性議員の比率の少ない大きな要因であると考えます。政策・方針決定過程への女性の参画は、より拡大されるべきであり、それが実現できる制度づくりを進めていくことこそが、政党の役割だと考えています。

3) 女性議員を増やすために政党として努力されている内容

国会、自治体議会選挙で女性候補者を積極的に擁立しています。この参議院選挙でも、選挙区候補・比例区候補とも約4分の1は女性です。

また、選挙区で複数の候補を立てる場合は、一人は女性を擁立することを基本方針 とし、選考を進めました。(東京・神奈川・愛知で実現)女性の新人候補へは、1999年から「民主党WS基金」を設け、立候補時に金銭的 な支援を行っています。さらに2002年からは、地方自治体議員選挙で供託金相当額の選挙資金を貸し付ける制度を創設。2007年4月の統一自治体議 員選挙では、これらの制度を活用し、多くの女性議員が新たに議席 を獲得しました。

選挙前には、党の男女共同参画本部の担当国会議員が、各地に出向いて候補者へ選挙ノウハウを伝授する「出前選挙講座」を開催しました。当選 した女性議員は「女性議員ネットワーク会議」を組織し、活動の地域間の連携や自己啓発活動、研修を自発的に行い、党本部がそれをサポートしています。

4) あればマニフェストでの男女平等等政策の内容

民主党は、均等待遇とワークライフバランスを実現します。今やパート労働者 は 1200万人を超えますが、その大半を女性が占めています。民主党は、短時間労働者であることを理由に賃金、昇進、その他の労働条件について通常労働者との差別を禁止する「パート労働者の均等待遇推進法案」 や「労働契約法案」を提案しています。また、女性・男性を問わず、すべての人が ワークライフバランスを保てる社会をめざし、「仕事と家庭の両立支援法」、「男女雇用平等法」の制定に向けて取り組みます。


1) 参議院選挙予定候補者の女性割合

選挙区 5名中1名
比例区 17名中3名
合計   22名中4名(18.18%)

2) 女性議員が世界最低クラスであることについての見解

日本がジェンダー開発指数とジェンダーエンパワメント指数に大きな差があることは国連開発計画の人間開発報告等が示しているとおりです。 教育や寿命などが高い水準を維持しているにもかかわらず、一方で国会議員に占める女性の割合は先進12か国中11位、女性の男性に対する所得比率は50%以下となっており、国をあげて女性の地位の向上、経済格差の是正、男女共同参画社会の実現に更に取り組む必要があります。
女性の政治参加率の向上のためには、まず女性が国政をはじめ政治分野により多く進出することが、より平和で豊かな社会を構築するために不可欠との認識を広く共有することが必要です。そして各政党が自主的にクオータ制度などのアファーマティブアクションを進め、女性の登用を積極的に図る必要があると考えます。

3) 女性議員を増やすために政党として努力されている内容

公明党は、女性が参加しやすい地方議会において女性議員を5割にするこ とを目指して積極的に取組みを進めており、着実に女性議員の比率が高くなっています。本年の統一選後の女性議員901名、議員数に占める女性議員の比率は28.9%です。地方議会において女性議員が増加すれば、当然国政における女性議員の増加につながります。その意味からも積極的に女性の登用を進めていきます。

4) あればマニフェストでの男女平等等政策の内容

男女共同参画の推進の視点から、党のマニフェストに以下の項目を盛り込んで、国民の皆様にお約束をしています。

①「仕事と生活の調和推進基本法」(仮称)を制定し、国をあげて企業と国民 が一体となった「働き方改革」を推進します。
②女性の農業経営における役割を一層明確化するため、農業経営における役割分担、収益配分、就業条件等を取り決める「家族経営協定」の締結の更なる普及 を目指します。
③改正DV防止法を踏まえ、DV防止と被害者の保護と自立支援を一層進めます。
④夫婦の姓(氏)について、同姓または別姓の選択を認める「選択的夫婦別姓制 度」の導入を実現します

女性候補者比率早見表

共産党自民党社民党民主党公明党
34.92%15%24%23.8%18.18%

■2007.07.07、08 夏合宿 in 秋田「政治の原点暮らしから!!-おなご(女)の知恵が政治を動かすー」(秋田県北秋田市)

日  時:2007年7月7日(土) 午後14:00~8日(日)午後13:00
場  所:秋田県北秋田市(旧鷹巣町)材木町
会  場:北秋田市交流センター
交 流 会:ホテルニュー松尾
視  察:ケアタウンたかのす/Aコース、Bコースあり
内  容:

第1日目

14:00~14:20 開会
14:20~15:20 基調講演
 「安心の暮らしを支える福祉と住環境」
 講師 M’s 設計室 主宰松橋雅子(一級建築士)
15:20~15:30 休憩
15:30~17:00 パネルディスカッション
 パネラー :
  小田美恵子(秋田県女性議員の会)
  佐藤加代子(秋田・女性議員を増やす会)
  石崎たかよ(元市川市議会議員)
  瀬野喜代(荒川区議会議員)
 アドバイザー :松橋雅子
 コーディネーター : 三井マリ子
18:00~20:00   交流会 立食パーティー(ホテルニュー松尾)

第2日目

ワークショップ「統一選挙を終えて どうだった?」
09:30~11:10 6人を1グループ他県の方々と意見交換
11:00~11:10 休憩
11:10~11:50 全体会(各グループより報告・講評)
11:50~12:00 閉会
12:00~    昼食しながらしゃべろディ

Report

ほんまもんの男女共同参画社会をめざして
―全国の女性議員と語り合おう―

8日は田辺市、9日は白浜町で2日間にわたって開催されました。今回の開催にあたっては田辺市議の松下泰子さんを中心に、県内の各議員、各団体が実行委員となって準備してくれました。当地に着いた私たちを歓迎の立て看板が迎えてくれ、地元の方たちの意気込みが感じられました。

代表挨拶
炭琴コンサート

オープニングは炭琴(和歌山名産の備長炭を使った琴楽器)サークルによるミニコンサートから始まりました。
澄んだ音色が会場いっぱいに広がり余韻が残る中、いよいよ開会です。白浜町の立谷町長、同議会議長、田辺市議会議長にもご参加いただきました。

堀内英雄(和歌山大学)の基調講演は「女性の参画が社会を変える」―ほんまもんの男女共同参画と女性議員の使命―をテーマに、女性議員の使命は、動員・排除を参画・共生に変えることにあり、「しなやかに、したたかに」と結びました。

堀内英雄氏基調講演
パネルディスカッション

続いてのパネルディスカッションは、同じテーマで堀内氏をコーディネーターに、三井マリ子(女性政策研究家)、石崎たかよ(市川市議)、高嶋洋子(和歌山県企画部長)、藤本眞利子(和歌山市議)をパネリストに、活発な意見交換が行われました。高嶋さんから和歌山県は女性議員が0の議会が8、1人だけが13との報告があり、県条例を武器に、議員や行政管理職に女性の参画を進めたいとの発言が印象的でした。

交流会は、チンドン座、人形劇、弁慶伝説の芝居の催し物が花を添えてくれ、白浜踊りを大勢で踊って終わりました。もちろん会場のあちらこちらで交流があったことはいうまでもありません。

弁慶伝説
2日目

2日目は (1)「男女共同参画と女性議員の役割」 (2)「災害と女性―防災・復興における女性の視点―」 (3)「紀南の自然から環境を考えるー環境行政の裏表」の3分科会があり、報告の後、来年の夏合宿での再会を約束しつつ、閉会しました。

和歌山のみなさん、ありがとうございました。

(村上香代子・文責)


■6月 総会(東京・荒川区)


■2007.06.24 ビルマ女性連盟国際シンポジウム(後援)

日  時:2007年6月24日
会  場:豊島公会堂にて
主  催:ビルマ女性連盟主催 国際シンポジウム・女性大会
後  援:全国フェミニスト議員連盟 

Report

ビルマ女性連盟主催 国際シンポジウム・女性大会

軍政下のビルマ(ミャンマー)では女性と子どもを含む国民が毎日将来の見えない厳しい日々を送っています。ノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーさんは軍事政権によって軟禁期間がまたもや1年間延長されました。彼女の62歳の誕生日の6月19日は、世界20か国以上でビルマの民主化を求める集会やデモが行われたと報道されています。スーチーさんの誕生日にちなんで、ビルマ女性連盟は、彼女の解放を求めるとともに、母国で迫害を受け続けている少数民族の女性たちの人権の保障と、平和の構築を願って、毎年女性大会を開催してきましたが、今回もフェミ議連に協力の依頼がありました。直前にビザが下りないため、前年(06年8月10日開催)のようなビルマからのパネリスト不在の事態が心配され、フェミ議からも日本大使館にビザ発行の要請文を出すなど迅速な対応の結果、何とかパネリストの一人が来日することができ、無事開催の運びとなりました。

ビルマ女性連盟のチョチョアイさんの主催者側挨拶のあと、フェミ議を代表して木村が「日本でも男女平等施策などへのバックラッシュが起こり、ことに憲法改正を主張する安倍政権になってから、日本の民主主義も危うい状況となっている。共に人権と平和を守るために頑張ろうと」スピーチをした。

続いてヒューマン・ライツ・ナウの伊戸事務局長、昨年のパネリストの重川氏から挨拶があった。

チン族、カレン族、カチン族、モン族、シャン族の女性たちが色とりどりの美しい民族衣装で登場した。しかし報告の内容は凄惨な耳を疑うようなものばかりだった。たとえば国軍により女性たちは昼間は荷役労働に借り出され、夜は性奴隷として扱われる。国による「強姦への許可書」を与えていることに対してビルマ軍事政権に対する制裁案が国連に出されたが、ロシア、中国によって否決されている。ことに、キリスト教を信仰するカレン民族に対する迫害は激しく、虐殺による民族浄化が行われてきた。

このような状況下でもなお、彼女たちは子どもたちの学校づくり、政治犯の釈放、民主的な国づくりのために頑張って生きたいと口々に決意を述べていた。

ラカイ女性連盟のミャ・ラザ・リンさんがゲストとして熱いスピーチを行った。 彼女はビルマからバングラディッシュに逃亡し、今はタイやアイルランドなど国際的にも活躍している運動家だ。リンさんはビルマは天然資源が豊かな国であるのに、軍事政権が全てを独占しているので、国民はいまだに貧しく、料理は薪で作り、川に水を汲みに行かなくてはならない。日本の援助は軍事政権を潤しているだけだと手厳しい。また、自分たちはビルマ国民なのに、ビルマに住むことができず、子どもたちにビルマの文化やことばを伝えることが難しいと訴えた。

続いてチョチョアイさんも、スーチーさんはもう18年間も拘禁されているが、1日も早い解放を願い、母国の民主化のために女性たちが手をつなぎあっていこうとしめくくった。

ピースボートのジョアンナ・ストラットンさんが武力闘争予防のためのグローバルパートナーシップについて力説。彼女はオーストラリア出身で母がビルマ人、日本の大学で学び平和と紛争のテーマで修士論文を書いた若い女性。今後タイとビルマの国境のNGOに参加するという。

最後は少数民族の人々が総出の民族音楽と民族舞踊で予定の時間が過ぎていった。

報告 木村民子


■2007.02.23 07’女性と政治キャンペーン

2007年は統一地方選挙の年。今回も全国で女性議員を増やすためのキャンペーンをします。

題して「’07女性と政治キャンペーン」!

「女性と政治キャンペーン」の第1回は1999年でした。発端は、1998年夏、マニラにおいて開かれた女性議員を増やすための国際会議。日本人参加者には全国フェミニスト議員連盟の会員が多くいました。1992年以来、超党派で女性議員を増やそうと運動を続けている会員たちは、日本の女性議員の少なさを変えようと議論を重ね、翌年の統一地方に向けて特別のキャンペーンを誕生させたのです(※1)。

2003年が2回目、今年が3回目です。統一地方選挙前の3月3日前後に一斉行動をしてきました。今回のキャンペーンの具体的方法は以下です。

1) 全国47都道府県に代表決定
2) メディアへの要請活動(記者会見など)
3) 各地域における独自アクション(街頭アピール、デモ、集会、電話作戦など)
4) 賛同人とカンパの募集(別紙)
5) WEBによる情報発信・交換URL http://www.josei-seiji.com

この全国キャンペーンは性差別のない男女平等の社会をつくるため、意思決定の場に女性議員を送ろうという1点でつながりました。そして、議会に挑戦する女性の決意を促し、女性議員を増やす一助となりました。合併によって議員数が減った中、全議員における女性の割合が減ることへの歯止めにもなりました(※2)。

しかし、私たちの運動の成果があったとはいえ、日本の自治体における女性議員の割合は全体でまだ8.85%にすぎません(※3)。女性議員がゼロの自治体もまだ4割前後あります。自治体における女性議員の少なさは国会の女性議員の少なさともなり、最近の国際調査では115か国中日本は79位(※4)。わかりやすく相撲番付に直すと、北欧諸国の横綱大関に比し、日本は序二段61枚目となります(※5)。

女性の人権は基本的人権です。男女平等の推進は、あらゆる人々が平等に生きられる社会へとつながる基本的要請です。女性は、どの自治体においても住民の半分以上を占めます。住民の半分以上を占める女性の代表が議会にわずか1割にも満たないことは、男性のニーズに偏った政策に重点が置かれ、住民全体のニーズと利益を考慮に入れることを阻害します。住民全体のニーズにあった社会サービスをつくり出すためには、男女が平等に議会に参画することが絶対に必要です。

2003年東京記者会見しかし、日本の政治はあまりにも男女不平等です。「女性は産む機械」(柳沢厚労相)、「”文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ”なんだそうだ」(石原都知事)、「子どもを生まない女性は、…年をとって税金で面倒をみてもらうのはおかしい」(森元首相)など、政治家の女性蔑視発言が続いています。さらには、全国各地で、男女平等推進を阻もうとするバックラッシュの動きがあとをたちません。この人たちは、旧来の固定的性役割に固執した言動をし続けます。そして男女共同参画推進のための条例や計画を踏みつぶそうという動きに出ます。こうした攻防の最前線は、地方自治体の議会です。

私たちは、すべての地方自治体に、男女平等の社会をつくろうと考える女性議員を増やし、こうしたバックラッシュを食い止めるとともに、女性の人権が尊重される男女共同参画政策を一歩一歩進めていこうと考えています。 「’07女性と政治キャンペーン」にぜひあなたも賛同してください。  

※1 : 「女性の政治参加進める世界の戦略」(1998年9月、共同通信配信「中部新聞」など提携紙)
※2 : 「日本の女性議員をもっと増やそう!!」(2006年9月25日、『AFER Vol.52』)
※3 : 世界経済フォーラム(本部ジュネーブ)による「2006ジェンダー・ギャップ指数」調査結果
※4 : http://fightback.exblog.jp/5316782/
※5 : http://fightback.fem.jp/hangyaku_nenpyo.html

Report

07’女性と政治キャンペーンの活動報告

2007年は統一地方選挙の年。今回も全国で女性議員を増やすためのキャンペーンを行いました。
題して「’07女性と政治キャンペーン」! 

「女性と政治キャンペーン」の第1回は1999年でした。発端は、1998年夏、マニラにおいて開かれた女性議員を増やすための国際会議。日本人参加者には全国フェミニスト議員連盟の会員が多くいました。1992年以来、超党派で女性議員を増やそうと運動を続けている会員たちは、日本の女性議員の少なさを変えようと議論を重ね、翌年の統一地方に向けて特別のキャンペーンを誕生させたのです。

2003年が2回目、今年が3回目です。統一地方選挙前の3月3日前後に一斉行動をしてきました。

2007年3月4日(日)
13:00~14:00 渋谷駅頭にて


2007年3月10日(土)
12:30~13:30 大宮駅西口 そごう前広場


2007年3月10日(土)
13:00~ JR市川駅
14:00~ JR船橋駅
15:30~ JR千葉駅

今回のキャンペーンでは、女性議員の数を増やすだけでなく、男女平等の政策を推進す る女性を、と質を強く問うことを掲げました。その結果、47都道府県中37県で世話人を選出して全国的ネットワークを築け、また、それぞれの地域の事情に応じて、独自のキャンペーンを展開し、ウェブ上(http://www.josei-seiji.com)には各地の街頭キャンペーンの様子が写真と共にほぼリアルタイムで送られました。さらに島根県が長年の女性県議ゼロ県を返上したこと、滋賀県では”もったいない知事”を支援するグループなどからの8人の女性県議誕生などの嬉しい選挙結果も速報されました。

結果については地方と都市部の事情がかなり違い、総括も難しい状況ですが、夏にはヌエック(国立女性教育会館)での男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラムで「’07女性と政治キャンペーン」のワークショップ開催を予定しています。その機会に皆さんと議論できたらと思っていますので、どうぞ、ふるってご参加ください。キャンペーンにご協力、頂きました皆さん、ありがとうございました。


■2007.02.06 6日付けで、柳澤大臣宛に要望書を送りました

2007年2月6日

厚生労働大臣 柳澤伯夫 様

柳澤大臣の早期辞任を求める要望書

全国フェミニスト議員連盟代表 村上香代子(埼玉県三郷市議)
瀬野 喜代(東京都荒川区議)
事務局 : 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2-27
TEL / FAX : 03-3253-0092

私たち全国フェミニスト議員連盟(1992年創立)は、女性の地位向上と男女平等を推進する議員を増やすことで、公平な社会をつくろうと活動を続けている民間団体です。

去る1月27日松江市内で開かれた講演会で、少子化問題にふれた際、女性について「産む機械、装置の数は決まっているからあとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと発言したことを知りました。「産めよ増やせよ国のため」の下、戦争に駆り立てて行った戦前の日本を思い出させるような発言に、私たちは驚きあきれるとともに憤りを抑えきれません。

国会で謝罪しましたが、女性蔑視発言をしたという事実は消えません。「反省しています」で済まされることではないのです。日本の将来を左右するきわめて重要な問題なのです。

厚生労働省は、男女がともに子どもを安心して生み・育てることのできる生活環境づくりをすること、そして女性が働きやすい労働環境をつくることなどを主要施策としていますが、ここ数年、女性たちの多くは、非正規雇用へと追いやられ、女性をとりまく経済環境は不安定に陥り、子どもをもっと産もうという選択をすることを阻んでいるのです。こうした深刻な現状を抜本的に解決すべき時に、あなたの発言は、産むか産まないか何人産むかいつ産むかは当事者である女性に選択権があるという「リプロダクティブ・ライツ(女性の性と生殖の自己決定権)」の精神を踏みにじるものであり、ことはさらに重大です。

出生率の上がってきている国は女性が仕事をしやすい男女平等の雇用政策をとっている国です。女性の人権を認め、女性の労働力を生かす国こそこれからの国際社会の平和と持続可能な環境に貢献する国になります。

最高責任者たる大臣はあらゆる方策を考え実行してゆくべき責務を担っています。「女性は産む機械、装置…」などと公言した人物に最もふさわしくないポストであり、ただちに辞任すべきです。私たちは柳澤大臣に速やかな辞任を要求いたします。

2006年の活動

contents

■2006.10.17 男女共同参画局と意見交換

女性の政治参加状況の新しいデータ提供など、
男女共同参画局に果たして欲しい役割はたくさんあります。
以前からの懸案だった男女共同参画局との意見交換の場を持ちます。
参加される方は前もってご連絡ください。

日  時:2006年10月26日(木) 16:30~17:30
場  所:衆議院第一議員会館 第三会議室
集合場所:衆議院第一議員会館ロビー 16時集合
内  容:
(1)女性の政治参画の状況(国会、都道府県、市町村各レベルでの女性議員、首長の動向)と世界との比較についてジェンダー統計の一分野としての情報公開
(2)国連女性差別撤廃委員会の審査について
(3)男女共同参画社会基本法・男女共同参画基本計画の推進体制について全省庁との連携方法と課題男女共同参画局の役割と可能性
(4)国民とのパートーシップについて「えがりて」ネットワークの現状説明と課題
(5)地方自治体の取り組みや地方における市民活動への支援内容と実践例について


■2006.09.05 ヌエックワークショップ

Report

ヌエックワークショップ報告

独立行政法人:国立女性教育会館(通称ヌエック)が主催し毎年夏に開いてきた「男女共同参画のための女性学・ジェンダー・交流フォーラム」は事業名称を「男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム」と変更。昨年までと大きく違う点は「女性学・ジェンダー」という文言を削除したこと、ワークショップ参加要綱の要件としてテーマを(1)女性のキャリア形成とチャレンジ支援、(2)科学技術分野への女性の参画、(3)防災と女性、(4)地域の活性化と男女共同参画、(5)環境分野への女性の参画、(6)女性関連施設・女性教育施設の役割、と限定し、ご丁寧に「裁判などの係争中の案件にかかわっていないこと」の一文が入っている。これまでのヌエックが果たしてきた全国の女性たちの自由な交流と連帯の場の提供という役割から、大きく後退したといわざるを得ない。ちなみに昨年度は「21世紀の男女平等・開発・平和 -新たな未来に向かって」の副題だけでワークショップ要件などは一切なかった。

さらに募集要項の最終確定が7月10日過ぎ、応募締め切りは7月22日(抗議を受けて8月4日に延長)というタイトな日程の中で当初はフェミ議連としての参加を危ぶむ声があったが、こういう時期にこそ私たちの参加する意義があるのではないかとのゼロ撲チームからの意見に背中を押されて参加することに決定。テーマは「社会教育・市民活動と女性の政治参加」呼びかけ文には「社会教育施設や女性関連施設を活用しての男女共同参画社会への道筋を考える」とした。当然このフォーラム参加人数も半減。会場では昨年までの活気はあまり見られなかった。

当日のワークショップ参加者は会員スタッフを含めて30人弱。3人の話題提の後、机を囲んでのグループディスカッションと全体報告、意見交換を行った。進行は今年からフェミニスト議員連盟の「なくせ女性ゼロ議会!増やせ女性議員キャンペーンチーム」のリーダーとなった神永礼子さん。

瀬野喜代代表(荒川区議)から挨拶、自己紹介を含めて荒川区の保守的な土地柄や、30人中7人の女性議員が必ずしもジェンダーの視点を持った人ばかりではないこと、来年の選挙では保育園活動の仲間から新人女性を出したかったが、男性の新人が大勢出るとのことで出馬が危ぶまれているなどが報告された。自分が議員になったことで市民活動をつなげ強化することに役立ったとの自負があるがもっともっと市民活動をする人が候補者を応援する必要があると訴えられた。

次に小磯妙子さん(横浜市フォーラム労働組合書記長)は11ページに及ぶ資料に基づいて国の基本計画に縛られる自治体の施策、社会教育施設としての公民館の変容の歴史などが報告された。国の第1次男女共同参画基本計画から5年、05年には第2次基本計画が策定されたが内容的には大きく後退している。先にあった「憲法、教育基本法にのっとり」とか「ジェンダーの視点に敏感な」という言葉が消え、ジェンダーの言葉の定義や「この言葉を適切に使うべき」という文言が入っている。当然自治体の公の施設としての女性センターの事業は、こうした計画にのっとることで実施事業が制約されることが悩ましい、と職員としての本音を話された。 また1965年の国立市立公民館の婦人教室の事業計画が示され、言葉は古いがその内容は女性が生活の中から問題意識を持ち社会を変えていく、主体を育てるという意気込みが感じられる。三多摩地域のこうした活発な公民館活動から女性が育ち、女性議員が多数進出している現在があるのではないかと指摘された。最後に女性センターで働く非正規の女性職員の劣悪な待遇と、女性の経済的自立を促すセンター事業の矛盾も考えてほしいと付け加えられた。

急遽参加できるようになった貴谷麻以さん(まつえ男女共同参画ネットワーク代表)は、人口70人の島根県、19万人の松江市と人口密集地帯とは抱える問題が違うという前置きの後、松江市内の37のあらゆる女性団体のネットワークの代表の立場から簡単な問題提起をされた。男女共同参画基本法ができて10年たっていない。ジェンダーという言葉は まだ女性学を知らない一般のひとには、使われ始めたともいえない状況であること 。ジェンダーはフランス語ではジャンルであり、すでに日本語になっている。もともとは名詞の性を表す言葉であり、2分化する形式である。セクス(性)とは言葉も概念も異なる。ジェンダーバッシングは無知からくるもので定着するにはもっと時間がかかるとの指摘をされた。さらに市の広報の市民記者として行政がいえないことを市民の立場で書くなど日ごろの実践を話された。提供された資料「行政主催の女性問題についての生涯学習講座が果たした役割―島根県の事例」では、島根県内の動きとして1998年を境にした報告、松江市の場合は95年の北京会議以後の女性たちの動きと女性センターの果たした役割が報告されている。

グループごとの話し合いでは、ワークショップのテーマの意味が参加者に伝わりきれなかったせいかグループごとの話題は多岐にわたった。中でも「女性の政治参加」という言葉がなければここには来なかった」とか、ご自分の落選経験から再挑戦を目指す人、行政情報誌の編集を担当する男性からは、行政の内容に踏み込んだ干渉を何とかしたい、などなど理解できる人に話を聞いてほしいという思いがあふれていた。最後に勝又さんから東京都の男女共同参画部局や女性の拠点施設を訪問した感想は「中央がこんなに寒々とした状況で、地方は力が出ない。もっとしっかりして」との叱咤激励が飛び出した。うーん、地方分権、男女共同参画…。まだまだ道遠し。

茅ヶ崎市議 鐘ヶ江洋子


■2006.08.10 ビルマ女性連盟主催 国際シンポジウム

ビルマ女性連盟主催 国際シンポジウム 「花咲く未来を拓くアジアの女性たち」

軍政下のビルマ(ミャンマー)では、女性と子供を含む国民が毎日将来が見えない厳しい日々を送っています。私たちビルマ女性は女性の立場から自分たちと子供たちの未来が拓く道をみなさんといっしょに考えていきたいと思います。

そして、日本を含む世界中の女性や人々に人権が保証される平和なビルマをつくるために協力を求めています。ビルマの現状やアジアの女性を巡るさまざまな問題について、話し合いましょう。

日  時:2006年8月10日(木)13:00~17:00
会  場:文京シビックホール(小ホール) 地下鉄 丸の内線・南北線 後楽園駅、都営地下鉄三田線 春日駅下
参 加 費:1,000円
内  容:

開場 13:00
第1部   13:30~16:40
シンポジウム「アジアの女性運動の現状と未来」
[ コーディネーター兼パネリスト ]
◇日本 木村民子 (文京区議会議員 全国フェミニスト議員連盟元代表)
[コーディネーター兼パネリスト ]
◇ビルマ チョチョアイ (ビルマ女性連盟日本代表)
◇韓国 孫明修(ソン・ミョンス / 大坂経済法科大学、
  アジア太平洋研究センター研究員・日韓市民スクエア共同代表)
◇日本 重川治樹 (フェリス女学院大学講師、ジャーナリスト)

★ビデオ上映
アウンサンスーチーさんのビデオメッセージ (10 分)

第2部   18:30~20:00
ビルマとの交流会 民族音楽と民族舞踊

◆主催 : ビルマ女性連盟 (日本支部)
◆協賛 : ビルマ市民フォ-ラム
◆共催 : 全国フェミニスト議員連盟
◆協力 : 文京DVを考える会、アムネスティインターナショナル、財団法人 むさしの厚生文化基金、インターナショナルフェローシップ、ビルマ民主化を目指している仲間たち
◆連絡先 : ビルマ市民フォーラム / 木村民子事務所

Report

ビルマ女性連盟主催 国際シンポジウム
「花咲く未来を拓くアジアの女性たち」

ビルマ、日本、韓国の3カ国によるシンポジウムで、テーマは「アジアの女性運動の現状と未来」。コーディネーター兼パネリストとして、木村が「日本の女性解放の歩み」と「女性の政治参画の状況」を説明した。特に女性解放運動の先駆者というべき平塚らいてうの「青鞜」と市川房枝さんの婦人参政権の獲得運動に絞って20分ほど話したあと、ビルマ女性連盟のチョチョアイさんが映像を使いながら「ビルマの民主化運動について」話し、「軍事政権下のビルマは女性と子どもが特に将来の見えない厳しい状況の中で暮らしている」と訴えた。当会会員でもある孫明修(ソン・ミョンス)さんは在日3世だが、孫さんは韓国の民主化運動に詳しく、その中で女性運動がいかに発展して来たかを映像を使って話した。ジャーナリストの重川氏は自身の父子家庭の体験から女性解放は男性解放なくてはできないということを強調し、イランのサミラ・マフマルバフ監督の映画「午後5時」に触れ、「男に政治を任せておいてはだめだ」と熱弁をふるった。韓国とビルマ両国とも時の軍事政権に抵抗し、命を削るような民主化運動と共に女性運動も進められたという厳しい状況に比べると日本の女性運動の弱さを痛感。孫さんの「韓国の女性運動はマッチョである」という名言は妙に説得力があった。

また、報道の自由がないビルマでも、韓国、日本でもこうした閉塞状況を打開するためには、真実を報道するジャーナリズムの責任は大きいということにまでディスカッションが進んだ。

休憩後は今なお軟禁状態のアウンサンスーチーさんのメッセージビデオが流され、「民主化のために一人一人が働かなければならない」スーチーさんの言葉に胸打たれた。
福島みずほ参議院議員からも「終りのない夜はない。…多くの自由、人権、民主主義を求める皆さんと心を一つにして共にがんばりましょう」という励ましのメッセージが届き、木村が読んだあとチョチョアイさんがビルマ語に訳して紹介した。


民族舞踊と民族音楽の夕べ
夜の第2部は色鮮やかな衣装をまとった民族舞踊とスーチーさんへの応援歌などの民族音楽などでにぎやかに盛り上がった


●ビルマ豆知識
●ビルマは長く英国の植民地だったが、(日本も1942年から1945年まで占領支配)1948年ビルマ連邦として独立した。だが、その後1988年から軍事政権時代に突入し、日本政府はこの軍事政権(国名をミャンマーとした)を承認している。この軍事政権下で、教育費は国の予算のわずか0.3%、小学校から中学へ進める子は約半数で、5歳以下の子どもは36%が栄養不足であり、しかも40万人の軍隊のうち7万人が子ども兵であるという事実は震撼させられる。女性への暴力とりわけ、少数民族の女性たちへの迫害は国連(CEDAW)にも報告されており、今日の活動も国連に報告するレポートの中に入れるということだ。 
●ビルマには女性の国会議員が15人いたけれど、国会は閉会状態で、ほとんどの議員が身の危険を感じて国外に逃亡 している。その中の73歳の高齢の女性議員は7年間、軍事政権に収容されていた。今はタイにいて、国外から憲法をつくる委員会(国民会議)の立ち上げを目指して活動し、国連でのロビー活動なども行っている。その憲法の草案には女性議員を30%にするクォータ制を入れたいということだ。


■2006.07.16〜23 ニュージーランド研修ツアー

女性問題省にて(フェミ議からの参加者)

日  程:7月16日(日)~23日(日)
費  用:149,000円
訪問都市:オークランド、ウェリントン、クライストチャーチ、クインズタウン

NPO G.Planningは千葉県の東葛地域を中心に真の男女共同参画社会を目指し海外研修ツアー、講演会、ワークショップ、講座等の企画実施しているNPOです。

2005年度、2006年度は、女性・子どもへの暴力防止のプログラムの日本 での公教育への導入を目指して研究会を開いています。
その一環としてのNZ研修です。研修先は、女性省、女性センター、警察(暴力防止教育のプログラム)DV被害者支援、男の性アンガープログラムを実施している団体など関連の施設などです。

Report

ニュージーランド飛びある記
女性参政権を世界で最初に獲得した国を視察

●視察日程(NPO法人Gプランニング主催、全国フェミニスト議員連盟共催)

7/17(月) オークランドオークランド女性センター
7/18(火) オークランド ノース・ハーバー・リビング・ウイズアウト・バイオレンス
シャクティ・コミュニティ・カウンシル・インク
7/19(水) ウェリントン女性問題省
ニュージーランド警察
7/20(木) ウェリントンニュージーランド女性協議会
クライストチャーチストッピング・バイオレンス・サービス
7/21(金)クライストチャーチセント・ジョセフズ・スクール
*クイーンズタウンでの女性議員との交流会は中止
7/22(土) クイーンズタウン *プレイセンター
*通訳兼コーデイネーター 江頭由紀さん(クイーンズタウン在住)

南半球のニュージーランドにこの夏、視察で訪問しました。フェミ議からは5人が参加。北島と南島をあわせて日本の2/3くらいの国をたった6日間で見てこようという欲張りな計画で、まさに飛行機で飛び歩きました。

冬のニュージーランドは天候が変わりやすく晴れたかと思うと一天にわかに曇って雨が降り出し、雹まで降るという状況で、中盤までは奇跡的に順調な視察を続けることができたのですが、クイーンズタウンに向かう飛行機がようやく離陸したものの悪天候のため着陸できず、南島の最南端のインバーカーギル空港にやむなく着陸。そこからひつじ畑とも言うべき牧場の中の道を突っ走ること2時間あまり。やっとの思いでクイーンズタウンに到着したときには、すでに午後8時をまわっていました。山道が凍結してお一人の議員は来られず、待っていてくださったもう一方には気の毒なので、残念ながら女性議員との交流会は中止となりました。

以下各参加者のレポートです。(国際担当世話人 木村民子)


ニュージーランド到着後、初めて訪れたオークランド女性センターは市街地から15分ほどの下町の住宅街にあり、芝生のある平屋の建物だった。

お話を伺ったのは、カウンセラーの資格をもつ30歳の10代教育担当のアナさん。センターはフェミニズムの考え方による女性のための団体で、具体的には「サポート活動。自主活動(ヨガや女性作家の読書会など)。週末のワークショップ。個人カウンセリング。」を行っている。民間で有料だが参加者の収入による考慮がある。スタッフは有償4名、ボランティア2名。サービスを受けた人はこれまでに1500人。30年の歴史がある。オークランド市による公設民営。

活動内容はサポート活動に力を入れていた。その中心は10代で母親になった女性たちに対するサポート。同じ経験のある女性たちがグループで話し合い情報を共有し将来についても話す。さらに、子育ての情報を具体的に学び、政府からの補助を受ける方法など実際の生活をスムーズに送ることができるような情報も学び、託児付だった。その理由はNZでは10代の妊娠が先進国の中でもかなり高く、背景には貧困、世代間連鎖などがあり、特にマオリの人たち、南太平洋からきた人々に多く見られるためだ。他にはカミングアウトした同性愛の少女たちのサポートグループなど。

あと、特筆すべき点は、Self -Defence(自己防衛)のワークショップだ。7歳~12歳のグループと13~15歳のグループ、大人のグループでそれぞれ、具体的に身を守る行動やどういう場面が危険か、さらに精神的なこと(自信のないことがおそわれる)や感情面のコントロール(危険が迫った時に怒りをおこすこと)などを教育していた。

施設内には女性の図書館もあり、その内容は女性の心と体、政治、女性に関する詩、ノンフィクションなど多岐にわたり、大変充実していた。奥には素敵な絵がかけられたカウンセリングルームがあり、小さいながらも実際的な助けになる女性センターだった。このような団体はオークランドに3団体、それ以外に全国で10~12団体あり地域に密着した団体だった。

DVに関して3つの民間団体を訪問した。DV対策は日本より10年は進んでいる。銀行などの企業がDV支援団体に多額の援助をしていること、民間団体の専従スタッフに潤沢とはいえないが生活できる給料を支払えていることは羨ましい限りです。それでも被害者を支援する際の悩みや運営の厳しさには共通するものがありました。「赤道を越えて反対側の国だけど共に頑張ろうね」と言われ、スタッフとかたくハグして別れました。

このパワーを、11月に函館で開催される全国シェルターシンポジウムに生かしたいと思う。フェミ議の皆さん、ぜひ参加してください!

(竹花郁子)


事務所訪問の前に、連携している民間シェルターを見学させてもらえた。車で20分程の郊外、5エーカーの敷地に2台所、大きなリビング、3浴室、7寝室という別荘のような2階建ての家。

心身の癒しと子どもの安全のための細かな配慮が各所になされていた。24時間電話相談、女性と子どもの保護、法律相談、教育プログラムの紹介、仕事や家探しなど自立支援を行っている。入居者は年約250人で人種にかかわらず支援する。中国、韓国、日本、アフリカの女性たちも今までに利用した。移民女性には移民としての権利も教える。通訳を雇えるだけの予算はないのでコミュニケーションが難しい場合も多い。年約2000万円の運営費は、政府から1/3を得て、銀行など各種基金や、寄付された芸術作品の展示即売など自助努力で残りを補っている。スタッフは6,7人、シェルターでは被害者が落ち着くまで寄り添ってサポートする。夫の元に戻る場合はセイフティプランを立ててから帰し、その後もスタッフが加害者と顔をあわせるこのないように外側から支援を続ける。

セイフティプランや教育プログラムは、上記の団体が行う。男性がより良く生きるためのプログラム、女性サポート、10代の加害者プログラムが用意されている。年間男性300人、女性200人、10代は50人位が研修に参加、8~16人のグループセッションで、トラウマの重い場合は一対一のセッションも行う。女性の研修は週二時間で15回、男性は6ヶ月プログラム、子どもは年齢毎のグループ研修。学校・幼稚園等への暴力防止出前講座も行っている。研修効果を尋ねたら、大学調査によると20%が劇的に変わり、65%が良い方向へ、15%は特に変化がないとの結果が出ているそうだ。20%劇的に変わるきっかけは何なのかを聞けず残念だった。


1995年に7人のアジア女性が設立した移民と難民のDV被害女性のためのサポートグループ。現在は国内にセンターを8カ所、シェルターを8カ所持っている。訪ねたセンターは5部屋あまりの民家で、まずスタッフとボランティア15人位が次々と自己紹介。インド、中国、パキスタン、イラン、バングラデシュなどの出身で、母国では37年間も教師を務めた人、ビジネスの学位をとった人、インターンシップの大学生と、様々な職業や立場や年齢の女性たちが関わっている。クライストチャーチのセンターには日本人ボランティアがいるそうだ。スタッフは例えどんな資格を持っていたとしても、必ず特別研修を受けなければならない。コミュニケーションゲーム等を行いながら違いを認めあい異文化を理解していく。多様な生活様式、宗教を背景とした人達が協力していくには重要なことだ。

もう一つ強調していたのは、アジア社会の縦関係ではなく、スタッフはみんな対等で横並びに情報を繋げていく、平場で話し合う、それぞれが代表者意識を持って役割を果たし責任転嫁をしないこと。何らかの暴力を受けたことのある人も多いのでピアサポートができる。20人が有償で関わり、運営費は年約4500万円で政府やCYF(児童相談所の様な組織)補助金や銀行などの寄付が収入源となっている。

年間約2万人の家族を支援しており、シェルター入居者は100人以上、すべてのアジア女性からの相談があり、日本女性の支援もした。パンフレットは中国語、アラビア語、韓国語併記のを揃えていた。24時間電話相談、一時保護から法的支援、文化理解や仕事を探したり、資格を取得の手助け、子どもの就学など自立に向けてのニーズを拾い上げてあらゆる支援をする。英語講座や車の運転指導も行っている。

「自分の国ではこのように充実した支援は受けられない」という被害者の言葉がきっかけで、最近マレーシア、インド、ドバイ、バングラデシュでDV調査とこの団体の活動を広めてきたという。10年間でここまでの組織を創り上げた強い意志と、手作りのお菓子でお茶の時間を準備してくれたあたたかさに、参加者はみんな感動した。


首都ウェリントンに着くと、一行13人は正装をして女性問題省に入った。トイレに行くにも、厳重な鍵をあけていく。ここだけは大変な警戒振りだった。1986年にたった30人のスタッフでできた一番小さな政府機関。女性の生き方をよりよいものに改善するための様々なアドバイスを提供する省。今回対応に当たったのは二人の女性、事務次官と、政策担当官だった。50歳前後に見える事務次官が雇用情勢とDVについて語った。

まず15歳から64歳の男女別雇用率は、男76%、女64%。働く女性の36%がパートで、働く男性の18%がパート。男女の給料格差は、女性が男性の82%。このような格差をなくすために、

1、 無償労働を分け合うこと
2、 保育所を増やし、保育者資格取得者を増やす。
3、 仕事現場をもっとフレキシブルに。
4、 パートの雇用を増やす。

ことを考えている。とのこと。有給(65%)育児休暇が自営業者にも取れるようになり、その給料は政府から出ることになった。(2006,6,1より)

次にDVに関して、政府は、経済的、社会的に大問題であると認識して、対処している。毎年殺人の50%がDVによる。そして30%の女性が何らかの影響を受けている。1995年にDV防止法ができ、加害男性への教育プログラムを実施しているが、まだ成功しているとはいえない。子どものしつけの手段としての暴力についても策を講じようとしている。

今調査を進めていること。

1、 今年がDV法の見直しの年なので、被害女性が助けを求めた道筋を集める。
2、 Keeping Ourselves Safeという虐待防止プログラムとの関係を作っていく。

最後に、女性の議会進出について聞いた。選挙制度が、小選挙区のみだったのを比例区併用に変えたのだが、93年に女性議員比率が30%だったのが、現在32%にしかなっておらず、選挙制度によって変わったとはいえないとの説明だった。しかしその後訪ねた女性協議会では、比例区併用制に変えた直後には、かなり増えたのが、その後落ちて現在に至っている、選挙制度の変革はそのときには意味を持っていたとの説であった。

女性たちは女性の活躍している政党を好むので、政党もそれに対応することになる。世界で初めて参政権を取ったという女性たちのプライドも影響している。とのことだった。


ケイト・シェパードさんたちの女性参政権を獲得する運動が実を結び、1893年にニュージーランドは世界で最初に女性参政権を獲得した。しかし、選挙権を得たものの、1923年まで被選挙権がなかったので、女性議員が誕生したのは1933年だった。ケイト・シェパードは、キリスト教禁酒同盟に属し禁酒運動をするうちに女性への暴力や女性参政権にめざめていったと聞いていたが、10ドル札の肖像を見ても、とても穏やかな素敵な女性である。

今回訪問したニュージーランド女性協議会はそのケイト・シェパードのグループが1896年に設立した。全国に31支部があり、39団体と協力関係にあり、各団体のメンバーと、ここでさまざまな議論をする。前協議会会長で今は議会監視委員会のヘリル・アンダーソンさんに話を聞いた。当協議会は、女性と子どもに関る家族の問題を中心に11ある委員会で議論したことをまとめ、政府に提言する。「107Yeras of Resolution」という分厚い冊子にはその記録が書かれており、ニュージーランド議会に提案し法律になったものがいくつかあるそうだ。たとえば加害者に対する申し立て期間が3ヶ月であったのを、1936年の法改正で12ヶ月に延長させた。

今重点的に働きかけているのは、男女の賃金格差の是正と暴力追放である。特にニュージーランドは暴力が最大の課題であり、子どもに対する取り組みはCYF (シフスDepartment of Child, Youth and Family Services)という日本の児童相談所にあたる政府の機関が行っている。協議会では、児童虐待防止などで活動している団体の代表者からの声をまとめ、政府に挙げる活動の他、 CEDAW (女子差別撤廃委員会)や子どもの権利条約委員会などにもNGOレポートを定期的に提出するため協力している。

また、女性省が女性の社会参加を進めるための 積極的改善措置を取り、2010年までに政府関係組織の女性の割合を50%にすることを目標にしているが、民間企業の女性管理職は、4%に過ぎないと聞いて、一同驚きの声が上がった。 私が、ここでは女性議員を増やすためにバックアップスクールのようなものを運営しているのかと訊ねたら、それは実施していないとのこと。ただ、選挙の時には立候補者のための教育をしたり、政党の公約の分析をして情報を流したりしているそうだ。1990年に小選挙区から比例代表併用制に変わったが、この時、女性協議会は3年間にわたり大キャンペーンを行った。小選挙区が女性にとっていかに不利か、比例代表制とは何か、どういう効果があるかを説明したパンフレットを作ったり、公聴会でスピーカーをつとめたりもしたという。そのため、1996年の比例代表併用制になった選挙では、女性立候補者が増え、1993年の女性議員は30%であったのが、2002年の選挙では37%にもなった。2005年には32%に後退したものの、女性省とは対照的に女性協議会は自分たちの活動の成果を自負しているようだった。

このニュージーランド女性協議会のように、全国の団体を束ねて政府に提言する強力な組織は日本には今のところまだない。市川房枝さんは日本のケイト・シェパードだったかもしれないが、後輩の私たちの力不足を痛感した。


1984年に、男性の怒りをコントロールする研修機関として設立したNPOで、32団体からなるDV国内ネットワークに加盟している。中心街のビル4階に事務所と研修室を設け、4つのシェルターと密接に連携をとっている。代表のポールさんは開口一番、「男性のためのプログラムにはお金が出にくく、資金繰りが厳しい」と訴えた。年間約600人の受講者の内裁判所からの250人位には国から受講料が出るが、いわゆる出来高制なので2/3がドロップアウトする現状では運営は厳しいと言う。年間約2700万円の予算で、スタッフは代表とソーシャルワーカーの常勤2人の他に、研修が開催される午後3時以降のスタッフが28名、計31名(内女性10名男性21名)。スタッフは、資質を見極める慎重な面接で採用され、年に一度16時間のトレーニングを受ける。 加害者プログラムの他に、女性支援プログラムや10代の子どもたちの怒りのコントロールプログラム(女性版・男性版)があり、1組25人で年20組実施している。個人研修も年約100人行っている。

加害者プログラムは45時間、12のセッションから成り、必ず女性と男性のスタッフ2人で実施する。女性の話を聴くことは加害男性にとって重要な研修となる。まず自分が行って来た事を話し合い、暴力に頼らずに人とコミュニケーションをとる方法を習得していく。

様々な「怒りのスケール」を用いて自分がどのような状態かを確かめる。70もの表情の顔マークが書かれた『今日はどんな風に感じてる?』表は私たちにも役立ちそうだ。 「ニュージーランドの男性は女性や子どもを大切にしてない。23年間研修を実施してきたが、なかなか変えることができないのが辛い」と代表が最後に語った。日本ではようやく加害者プログラム実施に向けて動き始めたが、この代表の言葉を噛み締めてより効果のあるものを創りたいと思った。


1878年に開校したクライストチャーチで最大のカソリック系の私立学校セント・ジョセフズ・スクールを見学させていただいた。5歳から15歳の生徒数が400人で16クラス、 最大生徒数は1年から3年で21人、4年から8年で27人と少人数学級だ。学習障害がある子どもには1人に1人の補助教員(補助教員コースを受講した有資格者)がつく。

また、98%がカトリック家庭の生徒。訪問した時、ちょうどティタイムだった。受付は高学年の生徒2人が担当し、教師たちは職員室(ミーティング・ルームのようなラフな場所)でクッキーを食べながらお茶を飲んでいた。日本と同様多くが女性教師。マーク・グレゴリー校長先生の校長室にも入れていただいた。壁に生徒たちが書いた絵をたくさん張っているのが印象的で、校長室独特の堅苦しさは感じられなかった。

学校の教育方針は、誰もがカトリック教会の教えと伝統を共有して、愛情深い環境の中で教育を提供することによって我々の子ども達に生命の準備をさせること。校舎は全て平屋で廊下は屋外だが、教室の中はつながっており暖房が効いて温かだった。この他に、図書館、コンピューター室、ホール、ラグビーとサッカーとホッケーが同時にできる自慢の広いグランドがあった。

暴力防止については学校独自のガイドラインを策定しており、すでにニュージーランド警察のプログラムを導入していた。校長先生の評価は、子ども達が告発しやすい雰囲気を作るために、教師と生徒の信頼関係が高まる効果があり、義務教育への導入の必要性を感じているとのことだった。

性教育についても1年生から実施しており、まず体の部位の正しい名前から教えているが、避妊については、やはりカトリック教会との協議があり、特に教えていない。10年間で1家族の拒否があったそうだが、まず保護者へのミーティングを行い、承諾を得てから始める。校長先生自身も2年間の性教育コースを受講して、資格を持っているとのことだった。

ちょうど、ホールで集会が行われる日で、私たちも特別に参加させていただいた。宗教的意味合いを持つ内容らしかったが、英語ができない私にはちんぷんかんぷん、子どもたちにニコニコ手を振って学校を後にした。こんなに気さくに視察を受け入れて下さったことに感謝したい。


■2006.07.08、09 全国フェミニスト議員連盟夏合宿 in 和歌山

1日目

日  時:2006年7月8日(土)12:30~17:00
会  場:田辺市 Big・U (一時保育あり)
内  容:

 12:30~13:30 開場・受付
 13:30~13:45 オープニング ミニ炭琴コンサート
 13:45~14:00 開式・挨拶  
 14:00~15:15 講演

「女性の参画が社会(まち)を変える」ほんまもんの男女平等参画と女性議員の使命 –

講師 堀内秀雄(和歌山大学生涯学習研究センター助教授)

 15:20~17:00 パネルディスカッション

  • パネリスト : 三井マリ子氏 (女性政策研究家)
  • 石崎たか代氏 (千葉県市川市議)
  • 高嶋洋子氏 (和歌山県企画部長)
  • 藤本真利子氏 (和歌山市議)
  • コーディネーター : 堀内秀雄氏

 17:00~17:30 移動(BIG・Uから白浜町三楽荘へ)
 18:00~20:30 交流会  
 21:00~ 拡大世話人会  

2日目

日  時:2006年7月9日(日)09:30~12:15
会  場:白浜町 三楽荘
内  容:

 09:30~12:15 分科会

(1)「男女共同参画と女性議員の役割」
  • 村上香代子氏 (埼玉県三郷市議)
  • 神徳佳子氏 (和歌山県環境生活部共生推進局長)
  • 進行 : 松下泰子氏 (和歌山県田辺市議)
(2)「災害と女性-防災・復興における女性の視点-」
  • 正井礼子氏(ウィメンズネット・神戸代表、カウンセラー)
  • 高月雅子氏(神奈川県茅ヶ崎市議)
  • 進行 : 片岡 玉恵 氏(ウィメンズネット・わかやま代表)
(3)「紀南の自然から環境を考える-環境行政の裏表-」
  • 玉井済夫氏(財団法人天神崎の自然を大切にする会他・和歌山大学講師)
  • 清水和子氏(和歌山県串本町議)
  • 進行 : 水上久美子氏(和歌山県白浜町議)

 11:40~12:15 全体会

◆主催 全国フェミニスト議員連盟夏合宿わかやま実行委員会
◆担当:松下 泰子さん、田井 たづ子さん、宮本 厚子さん

Report

ほんまもんの男女共同参画社会をめざして
―全国の女性議員と語り合おう―

8日は田辺市、9日は白浜町で2日間にわたって開催されました。今回の開催にあたっては田辺市議の松下泰子さんを中心に、県内の各議員、各団体が実行委員となって準備してくれました。当地に着いた私たちを歓迎の立て看板が迎えてくれ、地元の方たちの意気込みが感じられました。

代表挨拶
炭琴コンサート

オープニングは炭琴(和歌山名産の備長炭を使った琴楽器)サークルによるミニコンサートから始まりました。
澄んだ音色が会場いっぱいに広がり余韻が残る中、いよいよ開会です。白浜町の立谷町長、同議会議長、田辺市議会議長にもご参加いただきました。

堀内英雄(和歌山大学)の基調講演は「女性の参画が社会を変える」―ほんまもんの男女共同参画と女性議員の使命―をテーマに、女性議員の使命は、動員・排除を参画・共生に変えることにあり、「しなやかに、したたかに」と結びました。

堀内英雄氏基調講演
パネルディスカッション

続いてのパネルディスカッションは、同じテーマで堀内氏をコーディネーターに、三井マリ子(女性政策研究家)、石崎たかよ(市川市議)、高嶋洋子(和歌山県企画部長)、藤本眞利子(和歌山市議)をパネリストに、活発な意見交換が行われました。高嶋さんから和歌山県は女性議員が0の議会が8、1人だけが13との報告があり、県条例を武器に、議員や行政管理職に女性の参画を進めたいとの発言が印象的でした。

交流会は、チンドン座、人形劇、弁慶伝説の芝居の催し物が花を添えてくれ、白浜踊りを大勢で踊って終わりました。もちろん会場のあちらこちらで交流があったことはいうまでもありません。

弁慶伝説
2日目

2日目は (1)「男女共同参画と女性議員の役割」 (2)「災害と女性―防災・復興における女性の視点―」 (3)「紀南の自然から環境を考えるー環境行政の裏表」の3分科会があり、報告の後、来年の夏合宿での再会を約束しつつ、閉会しました。

和歌山のみなさん、ありがとうございました。

(村上香代子・文責)