女性ゼロ議会訪問 岐阜県瑞穂市

 

訪問自治体 :岐阜県瑞穂市
訪問日時  :2023年1月23日
議会事情  :定数18人 岐阜県議会も含め22自治体中 唯一女性議員ゼロ
直近の選挙 :2024年4月 女性議員1名誕生
訪問者   :岡田夫佐子 高橋和江 三井マリ子 
スケジュール:担当職員との意見交換
要望書   :あり
報道    :FEM-NEWS(三井マリ子主宰BLOG)

 

瑞穂市は、岐阜県内の市で唯一の「女性ゼロ議会」である。

1月23日、私たち全国フェミニスト議員連盟「なくそう!女性ゼロ議会」の3人は、瑞穂市役所に出向いて市長あて「要望書」を提出した。熊谷祐子前瑞穂市議も同行した。

要望書の中身は、「立候補する女性を増やさないと女性議員は増えません。女性が立候補できない原因・理由を調査して、なにが障害となっているかを探り、それを公表して下さい」など5項目である。

当日の対話をまとめると:
「男女共同参画」の専任が市にないため、「企画部総合政策課」の課長をはじめ男女共同参画を兼務している職員に対応していただいた。次のように述べた。

「2022年12月男女共同参画推進条例制定」「8.6%だった管理職を2022年15.8%に増やした」「男性職員の育児休暇取得2019年度ゼロを2022年度4人に増やした」「市内にある朝日大学と提携して男女共同に関する講座に市民も参加できるようにしている」

政策決定への女性参画は、第一次の「男女共同参画基本計画」で掲げた目標指標が多すぎたので、第二次では項目を絞って取り組みやすくした、と述べた。それに対して即座に「第一次にはあった市議会議員の女性割合の30%目標が削除されている。大きな問題だ」と熊谷前市議が指摘した。

『市民意識調査』には、「男女の地位が平等であると感じる人の割合を50%にする」とあったので、私は、「感じる」ではなく、実際の男女の地位が平等であるか否かを目標にすべきでは、と主張した。
「DV防止」について。市民のDV相談は「子ども支援課」で受け付ける。問題があれば、「子ども支援課」から情報が回ってきて協力して対応する体制をとっているとのこと。だが、過去そうした情報が回ってきて「ナイ」と。市職員のセクハラ・パワハラ件数についての調査はしたが、結果は「ゼロ」。結果の公表はしていない、とのこと。女性のかかえる深刻な問題であるDVやセクハラに政策の光があたっていないとわかった。

女性不在の議会は、こうしたテーマが議論になりにくいため、施策が貧しくなる傾向があるのだが、それを瑞穂市でも知らされたのだった。

私たちは、男女比を市の人口と市議会の2つの円グラフを10年ごとにつくって、いかに人口に比べて議会が男性に偏っているかを、一目でわかるように示してほしい、と強調した(要望項目2)。

「総務課」課長とも話し合いをした。総務課は選挙管理委員会を担当する。選管の委員4人のうち女性はゼロ。予備的に待機する補助員4人のうち女性は1人だけだと言った。瑞穂市が「女性ゼロ議会」であることを市民に伝え、危機意識につなげてほしい、と、私たちは提案した。

「子ども支援課」に行き「DV相談」の実績を聞いた。2022年度4月~9月の相談件数延べ33件、実数17件。うち岐阜県シェルター入所に至ったのは2件、とのこと。「女性相談員」は会計年度採用の女性がひとりだった。「子ども支援課」がある健康福祉フロアで忙しく立ち働く人たちの9割以上が女性だったことに驚かされた。(岡田記)

【FEM-NEWS https://frihet.exblog.jp/32878901/ より転載】

写真提供:三井マリ子

 

岐阜県瑞穂市 市長 森和之さま

2023年 1月23 日(月)

要  望  書

私たちは女性議員を増やして男女平等社会を実現しようと活動しております。全国フェミニスト議員連盟に属して、創設以来 30 年間、女性候補の発掘や支援、男性議員だけが占めている「女性ゼロ議会」の訪問、女性議員増に向けてのロビー活動などを続けてきました。

まちづくりに女性の参画は欠かせません。保育、介護、健康、教育政策などに女性の視点を入れて女性が家庭と仕事を両立できる環境にすること、また、DV やセクハラ対策、コロナ禍で困窮する女性ひとり親の課題、防災対応への女性の視点など、女性議員の必要性は多岐にわたっています。

すでに 1990 年、国連は、議会など指導的地位に就く女性の割合を少なくとも 30%に増やすよう各国に勧告しました(注 1)。さらに国連は、持続可能な開発目標 SDGs 17 の目標のひとつに「ジェンダー平等を実現しよう」を掲げて拍車をかけています。しかし日本は現在、衆院に女性は 9.9%しかおらず世界 164 位(注 2)です。地方議会も、女性の占める割合は 15%(注 3)に過ぎず、世界平均 36%(注4)の半数にも満たないのです。

ここ岐阜県においても女性議員はわずか14.6%に過ぎません。「女性ゼロ議会」は 5自治体あり、残念ながら瑞穂市議会も18人全て男性です。

「候補者男女均等法」が施行され、選挙の男女候補者数を均等(同数)にすることが国の目標となりました。注目すべきは、女性候補者増に向けての施策をつくって実行することは「地方自治体の責務」と明文化されたことです。ならびに地方自治体が実態調査・情報収集、啓発、環境整備、セクハラ・マタハラ対策、人材育成を行うことも強調されました。

以上に鑑み、市長による優れたリーダーシップを期待して、次のことを要望します。

  1. 立候補する女性を増やさないと女性議員は増えません。女性が立候補できない原因・理由を調査して、なにが障害となっているかを探り、それを公表して下さい。
  2. 女性議員・女性管理職割合の歴史的推移を調査し、市民にわかりやすく図表化して広報をし、方針決定の男女共同参画についての意識啓発につとめて下さい。
  3. 女性の意見が反映されるまちづくりのために、女性が公的分野に発言できる機会を新設して、女性の意見を恒常的に取り入れて下さい。
  4. 「男女共同参画」を推進する専門の担当職を置いて、男女共同参画社会推進法や候補者男女均等法を順守する施策を進めて下さい。
  5. 女性のネットワークつくりを、女性たち・女性団体と連携しながら支援をして下さい。

全国フェミニスト議員連盟・瑞穂市視察団 (高橋和江、岡田ふさ子、三井マリ子)
連絡先:三井マリ子(メールアドレス; 電話番号)

  1. 「国連ナイロビ将来戦略勧告」。30%はクリティカル・マス(存在を無視できなくなる最小人数)と称される ↩︎
  2. https://data.ipu.org/women-ranking?month=12&year=2022 ↩︎
  3. https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/pdf/map_chihougika ↩︎
  4. Womens-representation-in-local-government-en.pdf (unwomen.org) ↩︎
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