自治体議会における性差別体験アンケート報告集

 

本記事は、過去の記事、情報を基に2024年8月に改めて編集して公開しています。

自治体議会における性差別体験アンケート報告集

全国フェミニスト議員連盟
報告集(B5判64頁)販価500円(送料別途負担)
2015年7月25日 発行

都議会でのセクハラ発言をきっかけにフェミ議が2014年に行ったアンケート調査は、男性が多数を占める自治体議会での性差別の実態を明らかにしました。
2015年8月ヌエックフォーラムでの中間報告、同年10月パワーアップセミナーでの最終報告と相前後してマスコミからの取材も多数あり、社会的な関心も高まりました。
報告集には、許諾を得ることのできた回答者の自由記述とともに、アンケートの実施とまとめにご協力いただいた澁谷知美さん、亀永能布子さん、ゆのまえ知子さんからの貴重な寄稿を掲載しました。≪自由記述のいずれもが、切れば血の出るような、リアルさ、生々しさに満ちて≫(寄稿より引用)います。≪被害体験調査をして実態を明らかにしていこうと動き出したのは、まさに私たち自身が当事者だったから≫(報告集から抜粋)です。 
政治の場である議会が、女性にとっても男性にとってもより活動しやすい環境となり、結果として女性議員が増えることを私たちは目指しています。このために報告集をご活用いただきたく、是非、ご購入をお願いいたします。
なお、2月に作成したカラーリーフも在庫があります。あわせてご活用ください。

2015年7月            
全国フェミニスト議員連盟 共同代表  
皆川りうこ(東京都国分寺市議)
会津素子(千葉県成田市議)

報告書作成までの経緯

契機

2014年6月18日、東京都議会において、塩村あやか議員の一般質問に対し、議場内の男性議員からのヤジが飛び交い、嘲笑が湧きました。こうした言動は、セクシュアルハラスメントにほかならず、女性に対する人権侵害的行為で、決して許されるものではありません。

2014年6月18日 アンケートを企画

都議会での塩村あやか議員への野次をきっかけに、議会でのセクハラアンケートを企画しました。

2014年7月12日 「自治体議会における性差別体験アンケート」実施

全国フェミニスト議員連盟でも、今まで多くの会員である女性議員から、同様の女性蔑視発言や嫌がらせについての報告が寄せられており、自治体議会における性差別の実態を明らかにすべく、会員だけでなく、全国の議員(議員経験者も含む)に対して議会および議員活動における性差別体験の調査を実施しました。

8月30日 NWECフォーラムにて中間報告、意見書の提出

2014年度男女共同参画推進フォーラム IN 嵐山 「めざせ! 202030 ―政策決定の場にもっと女性を」にて、澁谷知美さん(東京経済大学准教授)と小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議・フェミ議事務局)が中間報告をしました。

全国の地方自治体における議会議長会宛に意見書を提出しました。

10月31日 女性議員パワーアップ集中講座にて最終報告

第4回女性議員パワーアップ集中講座「2015年統一地方選挙に向けて~女性の政治参画のために~」にて、自治体議会における性差別体験アンケート最終報告/八王子市議:陣内やすこ(全国フェミニスト議員連盟・増やせ女性議員!なくせ女性ゼロ議会キャンペーンチーム)として、会員・女性議員を対象に全国フェミニスト議員連盟が行った緊急アンケートの最終報告をしました。

2015年2月20日 リーフレットの完成 3月20日 配布スタート

セクハラ議会の実態を広めるためのリーフレット「えっ!?議会でもセクハラ?とんでもない」をA5判4ページのサイズで5000枚印刷し、女性と政治キャンペーンを契機に、100部1000円+送料実費で全国に送付しました。

7月25日 「自治体議会における性差別体験アンケート報告集」発行

2014年7月からアンケートの回答の結果をとりまとめた報告集が完成し、B5判サイズ64頁で1000部作成し、頒価500円(送料別途負担) として販売を開始しました。

  • AFERVol.86 P11「フェミ議のセクハラアンケートが冊子になりました」

 

報告書より(一部抜粋)

≪本文から≫

女性議員自身も、「何がセクハラかに気づいていないのではないか」ともいえます。

  (第2章-1 アンケートから見えたもの)

「今後」で示された「男性に対抗できる男性の養成」は私にとって新鮮な視点だった。

(第2章-2 注目を集めてのヌエックフォーラム)

女性に対するハラスメントは「私的なトラブル」ではなく、「社会的な問題」といえるのである。

(第2章 澁谷知美さん寄稿より)

差別行為に程度の軽重があるわけではないが、地方議会のそれはまるで前世紀の遺物、セクシュアル・ハラスメントという概念がなかった頃の日本社会のようだ。

(第2章 亀永能布子さん寄稿より)

2007年には雇用機会均等法にも事業主のセクハラ防止措置条項が設けられた。このように、社会的には法的措置が進んできた中で、‘取り残されてきた島’があった。自治体議会である。

(第2章 ゆのまえ知子さん寄稿より)

 


≪共同代表 巻頭言≫

2015年5月24日

これぞフェミ議の真価、底力!あきらめない姿勢で社会を変える

この度の報告書をまとめるにあたり、多くの皆さまにアンケート等のご協力をいただきました。アンケート記載にあたり、あるいは、触れたくないことを思い起こさせた方もいらしたかもしれません。大きな組織やメディアによる調査に比べると回答数は決して多いとは言えませんが、一つ一つの記述は重く、真摯にこの問題に取り組もうとする姿勢がうかがわれます。 回答をお寄せくださり、またこのアンケートを手渡すなど広めてくださった会員はじめ多くの現職議員や元・前議員の皆様、本当にありがとうございました。また、アンケートのまとめにご協力いただいた上、総合的な論評、感想をお寄せ下さった、澁谷知美さん(東京経済大学教員)、ゆのまえ知子さん(北京JAK)、亀永能布子さん(公人による性差別をなくす会)からの多大なるご協力に心より感謝申し上げます。

私たち、全国フェミニスト議員連盟では、2014年6月の都議会でのセクハラ発言をきっかけに、各地の議会でのセクシャルハラスメントの実態について調査しようとの動きが始まりました。おそらく他の政党、メデイアよりもその動きは早かったのではないかと思います。それだけ当事者として日常的に性差別に向き合い、問題意識を持ち、活動している会員皆さんの、この実態を明らかにし何とか変えたいという声や力が、強く私たちを突き動かし、後押ししたのだと思います。

セクハラ発言から5日後の6月23日には、都議会への抗議、要請行動を行いました。また、女性議員が政治参画しやすい環境整備の一つとして、産休制度の導入など盛り込んだ要望書を8月30日に全国議長会へ送付しました。(2015年5月に出産欠席の規定を設けるため会議規則の改正を議長会が決定しました。)

アンケートについては、7月に佐渡で開催されたサマーセミナーでの拡大世話人会で提起され、その帰り途の新潟の喫茶店での、世話人会の延長で具体的な検討を始めました。その後、短期間に、アンケートを実施、回収。集約しまとめ, 8月30日のヌエックにて中間報告をしました。いくつもの新聞社、TV局等からの取材も手分けし対応し、それぞれの議会活動も手を抜くことなく同時進行で切り抜けてきました。加えて、「えっ!?議会でもセクハラ」のリーフ作成に留まらず、2015年4月の統一地方選挙があるというのに、無謀とも思える報告書作成の提案にも反対の声もなく取り組むこととなりました。

そもそもフェミ議自体は、一つの組織ではありますが、行動提起などに対して特に厳しい縛りがあるわけでもなく、問題意識を持った人が中心となってML等で呼びかけ、徐々に形にしていくという活動をしています。テーマによって違いはありますが、意見書、声明文など、タイミングを逃さないよう対応がなされ、最終的に組織の意思形成となっていくのです。

通常、年度初めにフェミ議の総会が開催され、前年度の活動報告や今後の方針が確認されます。しかし、今回のように年度途中に発生した問題に対しては、まさにタイミングを外すことなく行動する姿勢が貫かれています。これこそが、まさしく、フェミ議の真価であり底力であると思っています。誰かが頂点となってトツプダウンで決定する仕組みとは違い、緩やかに合意形成をしながらの発信力、行動力。そこには、しなやかさとしたたかさを兼ね備えて行動してきた女たちの四半世紀近くの歴史があればこそ出来ることです。

これまで私たちは、「政策決定の場に多くの女性の参加を」「男女平等施策の推進」を目標として活動してきました。だからこそ、現場を経験している立場からの声やその思いが結実した本報告書の意義は大きいものです。

各議会からの実に恥かしい実態を情報共有することにより、それぞれの自治体では何ができるのか?対策は?と改めて考えてみることが重要であると考えます。

一人ひとりの力は小さいけれども、同じ思いを持っている多くの皆さんと共に連帯し、この報告書をご活用していただき、少しでも改善に向けての一助となることを願い、巻頭の言葉といたします。

全国フェミニスト議員連盟 共同代表
会津 素子(成田市議会議員)
皆川 りうこ(国分寺市議会議員)


≪おわりに≫
おわりに 当事者による当事者のためのアンケート

野村羊子(東京都三鷹市議)

 全国フェミニスト議員連盟の会員の9割は女性で、8割は自治体議会議員(元も含む)。だから、東京都議会のセクハラ野次問題が起ったとき、会員の誰もが人ごとではなかった。多くが自身の議会開会中であったにもかかわらず、即座に抗議・要請文をまとめて、都議会に提出に出かけることになった。たまたま、加害者(の一人)が謝罪会見をする、というタイミングで、議長に要請文を提出できた。そのまま、要請文をお届けに都議会の各会派を回り、当事者の塩村議員を初め、多くの女性都議らと共感のエールを交わし合う、という状態だった。

 被害体験調査をして実態を明らかにしていこうと動き出したのは、まさに私たち自身が当事者だったから。それまでにさんざんセクハラ・パワハラにあい、体験を共有し合い、ともに怒り、支え合うことで、乗り越えようとしてきた経験があったから。

 私自身、もう26年前になってしまったが、日本で初めてのセクハラアンケートに関わり、アンケート内容を練り上げる作業、回収したアンケートを読み込みまとめる作業を通して、セクハラとは何か、性暴力被害に遭うとはどういうことかを追体験し、言語化することで整理し直すという貴重な体験をした。この体験が、私の活動の原点となった。

 今回の調査と集計作業等に関わることで、プロジェクトチームのメンバーはやはり貴重な体験をしたと思う。調査自体が非常に短期集中。しかも議会の合間で、議員はほとんど登庁しない7~8月に配布・回収。8月末には中間報告、10月末に最終報告を行った。しかもそれでは終わらなかった。3.8女性と政治キャンペーンに向けてカラーリーフを作成。統一地方選挙で使ってもらうべく大量印刷して販売。そして、統一地方選挙で多くのメンバーが動けない時期を挟みつつの報告書作成。いやはや我ながらよく頑張ったと、メンバー全員の努力を大いに褒めたい。

 セクハラ野次問題がきっかけとなり、議会の旧弊な体質があらわになり、女性議員が様々な受忍を強いられている状況などが、統一地方選挙を前にマスコミで報道された。私たちのところにも、多くの取材要請があった。3大新聞はいずれも女性議員に関する連載記事を掲載したが、担当記者の多くは女性で、彼女ら自身も共感しながら書いている雰囲気がうかがえた。

 私たちは、女性議員を増やし、ジェンダー平等な社会をつくることに寄与することを目的に活動している。今回のアンケート調査とその報告は、その一助になったと思う。多くの女性議員たちのつらい体験を無にせず、議会を変える力になれば、ご協力いただいた方々に報いることになると思っている。アンケート調査およびまとめの作業、また報告やリーフ・報告書の作成作業、そしてアンケート結果を広げてくださった全ての方々に感謝したい。そして、この報告書を手にとってくださった方々とともに、さらに女性議員が当たり前に働く議会を増やすための活動を展開していけたらと願っている。

 

リーフレット・申込書の申込み

●報告集(B5版64頁)販価500円(送料別途負担)

●リーフレット 価格:100部1000円(送料別途負担)

事務処理の都合上100部単位の申し込みとさせていただきます。

  • 送付時に送料(*)を含めた代金を記載した納品・請求書を同封いたします。
  • ヤマトDM便(82円)の目安 ⇒報告書1~3冊/リーフレット100部
  • ゆうぱっく(360円)の目安 ⇒報告書4~6冊/リーフレット300部
  • 上記以外は送料着払いを予定しています。