松戸警察交通安全動画問題・記者会見について

2021年10月8日、「千葉県警(松戸警察署・松戸東警察署)交通安全 PR 動画問題に関する記者会見」を開催しました。記者説明会ではジェンダー視点による公的広報のガイドラインの重要性を訴えました。会見では増田・共同代表がメッセージを読み上げ、私たちが「抗議ならびに公開質問状」を出した趣旨を改めて発信しました。参加記者数は合計15人でした。

記者会見にあたってのメッセージ

(今回の動画について)

 今回問題にした動画を見て何とも感じない人はたくさんいると思います。日本では、ついこの間までコンビニ等で成人向け雑誌が、子どもの目線の高さで、当たり前に陳列されていましたし、10代の女の子のアイドルたちが、露出の多い衣装で踊りながら歌っている光景も日常的に目にしています。私たちは、あまりにも普通にそれらを目にしてきたので、慣れてしまっているのだと思います。

 一方で、この動画を見てモヤモヤした違和感や嫌悪感を持つ人もいます。「女性はこんな風に、性的に見られている」と強い抵抗感を持つのです。性被害やセクハラ被害の経験を持つ人にとってはなおさらでしょう。

 アニメ系の女性を見ると、体つきは大人のようなのに、話し方が妙に子どもじみているものがとても多いと感じますが、本当に、この国の若い女性は皆さんの目にそんな風に映っていますか?

(公的機関の役割について)

 公的機関は、その自治体に住む人の、福祉向上のために働く機関です。誰にとってもより良い社会を形成するために努力し、多様性に配慮すべきなのは言うまでもありません。ましてや警察は、性加害や虐待を取り締まっているのですから今回の動画についても慎重になって当然です。

 そして、今回の一番大きなポイントは、この交通安全動画が「子どもを対象にしている」ということです。どの年齢だから良いという話ではないですが、特に、影響を受けやすく判断力が十分発達しているとは言えない段階にある、女の子たち、男の子たちにこの動画がどう映るのかを、私たち大人はもっと注意を払うべきではないでしょうか。

 小・中学生に対して「むやみに肌を露出し、胸の揺れが強調された女子中高生風のキャラクター動画」を、公共機関である警察署が率先して見せるのが当たり前の社会を、私たちは求めていくのですか?と問いかけたいと思います。

(権利の保障について)

 私たちフェミニスト議員連盟は、公的機関の認識を改めていただくために抗議ならびに公開質問状を提出しました。その中身について議論があったとしても、抗議をすること自体は、議員はもちろん、誰にでも保障された権利です。抗議は脅迫ではありません。一部の報道に見られたように、議員集団だから抗議するのはおかしい、という論調をメディアが作っていくことは、議員や市民の権利を狭めていく、奪っていくおそれがあるということを、皆さまにはもう一度考えていただきたいと思います。

(フェミ議連が目指す社会とこれからの活動について)

 この間、私たちは一体誰に向かってメッセージを発する必要があるのかを話し合ってきました。

 「ジェンダー平等ではない性的表現物」を公共空間で否応なく見せつけられ、傷つけられている女性たち、私たちのあずかり知らぬところで、叩かれ晒されているのをSNS上で見て萎縮している女性たち、あるいは私たちの状況を見て選挙に出ることをためらっているかもしれない女性たちに、そして、子どもたちを守ろうと日々奮闘している大人たちに声を届けたいと思いました。

 私たちは、子どもたちや少女たち、女性たちを常に性的なまなざしで見る、それに慣れてしまっている社会を変えたい。安心して電車に乗れる社会、自分らしくいられる居場所のある社会。行政こそが率先して、性被害を防ぐためにアクティブである社会。それをめざすからこそ、記者会見を開こうと考えました。  女性議員が少ないこの国で、議会内外におけるいじめや票ハラ、セクハラも、かいくぐって活動している議員はたくさんいます。私たちフェミニスト議員連盟は、これからも、たった一人で、あるいは少数で、議会で頑張っている全国の女性議員たちや、想いを同じくする市民の皆さんと共に、力を合わせてジェンダー平等の実現のために活動していきます。

※会場での記者との主たる質疑応答は東京新聞(2021年10月8日付)による報道をご参照ください。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/135429/2

会員用アーカイブで当日に配布した資料及び当日の記者会見の様子をご覧いただけます。