第5次男女共同参画基本計画素案について提言をしました

2020年8月8日~9月7日に募集していた内閣府男女共同参画局のパブリックコメントに全国フェミニスト議員連盟として以下の提言をしました。

以下、黒字は全国フェミニスト議員連盟の意見、青字は素案です。末尾に参考資料としてURLのリンクがあります。

〈第一部 基本的な方針について〉

●全国フェミニスト議員連盟は、ジェンダー平等の実現をめざし行動する市民と議員による会員200人ほどの団体で、設立当初から「女性議員30%」を目標に掲げ、数値は暫時更新してきた。2020年度の活動目標ではSDGsの理念及び2018年に成立した「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の理念を達成するため、〇政党内の決定機関ならびに議会の50%を女性にするよう要請すること〇あらゆる政策決定の場で一方の性が 40%を下回らないとの考え方の共有を進めること〇女性ゼロ議会をなくすための活動に取り組むことなどを掲げている。このような観点からみると、今回示された5次計画は全く不十分である。

●4次計画をどのように総括するのか、日本の立ち遅れの現状のみで、そのことの原因、理由についての分析が書かれていない。同様に、「202030」として推進してきた目標が達成できなかったことについて、明確に示しておらず、その分析がない。総括したうえで次の計画につなげるのは、計画行政として当然のことで、きちんとした分析をした上で、だから5次計画では、この点に注力する、という計画を立てるべきである。

 2020年3月に、女性差別撤廃委員会は、日本政府への「第9回日本定期報告への事前質問事項」において、para.7「男女間の事実上の平等を加速するために第4次男女共同参画基本計画において設定された数値目標の影響と成果に関する情報」「条約第4条第1項及び委員会の暫定的特別措置に関する一般勧告第25号(2004)に従い、法令によるクオータ制を採用する取り組み」「第5次男女共同参画基本計画において女性の地位向上に特定して設定された目標と指標について詳しく」求めているが、これにも応じられないことを示している。

第1部  基本的な方針 3  5次計画策定における基本的な視点と取り組むべき事項等 (1)基本的な視点及び取り組むべき事項 ②

指導的地位に占める女性の割合が 2020 年代の可能な限り早期に 30%程度となるよう目指して取組を進める。さらに、その水準を通過点として、指導的地位に占める女性の割合が 30%を超えて更に上昇し、2030 年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。

●目標数値を明確に示すべきである。これでは、目標になりえない。世界目標は「203050」、2030年に50%なのだから。 世界に遅れた状態から着実に追いつくには、これまでの轍を踏まない必要がある。国連の「ナイロビ将来戦略勧告」(1990年)の世界目標である「202030」を日本が政府の目標としたのは13年後の2003年で、男女共同参画基本計画に明記したのは、更に遅く20年後の第3次基本計画だった。2015年に更新された世界目標「203050」を着実に達成するには、今回の5次計画に数値目標を明確に掲げることは必須である。

〈第二部 政策編 Ⅰ あらゆる分野における女性の参画拡大〉

〇  政治分野が率先垂範してあるべき姿を示すことができるよう、政治分野においても女性の割合 30%程度を目指し、さらに、その水準を通過点として政治への女性の参画を拡大していくためには、候補者に占める女性の割合を最低限 30%以上としていくことが求められる。そのため、政党等における実効性のあるポジティブ・アクション(男女共同参画社会基本法第2条第2号に定める積極的改善措置)の導入を促すことが肝要である。

政治分野における女性割合は、30%ではなく、50%と明記し、そのための具体的な政策事業の検討を進めるべきである。現状追認では計画は促進されない。

〇  諸外国では憲法又は法律によるクオータ制も導入されている中で、政党による自主的な取組だけでなく、両立支援策等の女性が立候補や議員活動しやすい環境の整備や政治に参画しようとする女性の交流の機会の積極的な提供、人材の育成等が必要である。また、候補者や政治家に対するハラスメントが政治への女性の参画にとって障壁の一つとなっていることから、ハラスメント防止のための取組を進めることが重要である。

今までと同様では進まないことは明らかだ。環境の整備や政治に参画するための暫定的特別措置法、あるいは財政措置が必要である。

〈第 11 分野  男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献〉

1  持続可能な開発目標(SDGs)や女子差別撤廃委員会など国連機関等との協調 (2)具体的な取組 イ  女子差別撤廃条約の積極的遵守等

②  女子差別撤廃条約の選択議定書については、早期締結について真剣に検討を進める。

国際標準に合わせる必要がある。「女性差別撤廃委員会における第9回日本定期報告の審議までに選択議定書を批准する」と、明確に示すべきである。

~参考資料~
「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」についての意見募集
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/5th/ikenboshu.html

提言の素案への反映については
10/8開催の第5次基本計画策定専門調査会(第7回)資料
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/5th/sidai/5th-7-s.html

資料1-1
第5次男女共同参画基本計画の策定に当たっての基本的な考え方(案)【見え消し】 [PDF形式:691KB]
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/5th/sidai/pdf/07/01-1.pdf

資料2-1
第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方についての公聴会及び意見募集の結果(集計)[PDF形式:218KB]
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/5th/sidai/pdf/07/02-1.pdf