「日本政府に対し、仕事の世界におけるハラスメントや暴力を禁止するILO国際条約制定への賛同を求める緊急声明」
2018年6月8日
全国フェミニスト議員連盟…
共同代表 小磯妙子
共同代表 まきけいこ
ジュネーブで開かれている国際労働機関(ILO)の年次総会は、職場におけるセクシュアルハラスメントや暴力をなくすための国際基準の枠組みについて、拘束力を持つ条約を制定する方針を決定したと、国内外で報じられている。
ILOによるセクシュアルハラスメントや暴力撤廃の国際基準決定は初めてのことであり、「#MeToo」という一人ひとりによる性被害の告発運動が、またたく間に世界へ広がった流れから見て、絶好のタイミングであり、大いに歓迎する。
しかし、これに対する日本政府の対応には疑義を禁じえない。
ILO加盟国の政府・労働者・使用者の代表による討議においては、①拘束力を伴う条約、②拘束力のない勧告、③拘束力を伴う条約を勧告で補完、という3つのいずれにするかが議論された。EU諸国、中南米、アフリカ諸国、さらに日本の連合も労働者側の立場で、≪③拘束力を伴う条約を勧告で補完≫を支持している。ところが日本政府は「勧告が望ましい」という使用者寄りの立場を崩さず「条約にするとしても多くの国が批准できるような柔軟な内容とすべき」と態度を保留し、国際基準の弱体化を示唆している。
今回の国際基準決定のもとになったILO事前調査によると、セクシュアルハラスメントの法的規制がある国は80カ国中60カ国に上り、日本は「法的規制がない20カ国」に含まれていた。
先般の財務省事務次官等、官僚、自治体首長らによる相次ぐ「セクハラ」事件、財務省のセクシュアルハラスメントに対する無理解極まりない調査方針、財務大臣らにより繰り返された二次加害発言や「セクハラ罪はない」発言など、その対応の流れを見ても、セクシュアルハラスメントや暴力のない職場をつくるための法的規制は、喫緊の課題である。
全国フェミニスト議員連盟は、政府に対し以下のことを強く求める。
1 政府は、「拘束力を伴う条約を勧告で補完」とする強い効力を持つ国際条約制定に賛成し、積極的に取組むこと。
2 政府はセクシュアルハラスメントを規制する法整備を進めること。
3 条約制定の際には速やかに批准すること。