意見書を提出しました

「医大・大学医学部の女性差別入試をなくし男女共同参画推進を求める意見書」

2018年9月14日

文部科学大臣 林 芳正 様
内閣府 男女共同参画推進特命担当大臣 野田聖子 様

医大・大学医学部の女性差別入試をなくし男女共同参画推進を求める意見書

全国フェミニスト議員連盟
共同代表 小磯 妙子(神奈川県茅ケ崎市議会議員)
共同代表 まきけいこ(元千葉県船橋市議会議員)

事務局 脇 礼子(神奈川県藤沢市議会議員)
藤沢市辻堂5-20-11  T/F0466-35-0762

全国フェミニスト議員連盟は、男女平等社会の実現をめざして活動する市民と議員の団体です。

去る8月、東京医科大学が入試において、女性受験生を合格しにくくするよう得点を不正に操作していたことが判明しました。

国内外に批判が沸き起こり、文部科学省が全国81大学の医学部を調べたところ、過去6年間、毎年、6~7割の大学で、男性の合格率が女性の合格率を上回っていました。すなわち男性の合格率は、女性の平均約1.2倍であり、順天堂大1.67倍、東北医科薬科大、昭和大1.54倍、日本大1.49倍、九州大1.43倍など、その他の大学においても不自然な実態が明らかになりました。

女子合格者数を減らすための得点操作は、性差別の禁止(憲法第14条)、性別を問わず等しく教育を受ける権利(憲法第26条)、職業選択の自由(憲法第22条)を保障する憲法に違反します。さらに教育基本法第4条の「教育の機会均等」に明確に反します。

また、法的拘束力を持つ国際文書「女性差別撤廃条約」は、第1条で「女性に対する差別とは性に基づく区別、排除又は制限」と規定しており、これは、ただちに是正すべき女性差別にあたります。第10条「教育における差別撤廃」に向けて「遅滞なく」具体的措置がとられるべきです。

中には、長時間労働や宿直に耐えうるのは「男性医師」であるとの意見もあります。しかしながら、それは、女性が家事育児負担をして当たり前とする固定的性別役割分業の押しつけや家事育児を女性に任せて長時間労働を当たり前とする男性の働き方を当然視したものです。こうした現状追認こそ、「女性差別撤廃条約」が懸念する固定的性別役割分担意識の表れであり、実際に日本政府は、女性差別撤廃委員会から「懸念表明」を幾度となく受けてきました。

OECDにおける医師の女性割合を見ると、加盟国平均で約4割です。しかし日本では女性は全医師の2割しかおらず最低です。どの国でも年々女性医師の割合が伸び日本も例外ではないものの、日本の伸び率は極めて低く深刻です。労働時間の短縮、短時間勤務の導入、保育施策の充実など、他国に学びながら、女性医師が働き続けられる環境整備こそ、急務です。

よって私たちは、東京医大をはじめ医科系大学の入試における女性差別に抗議すると共に、以下のことを強く求めます。

1)疑念が指摘される今回の調査結果について、厳密、厳正な追加調査、訪問調査を徹底して実施し、その結果を詳らかにすること

2)すべての医大、医学部の入試における女性差別防止のための対策を講じ、その行動指針を示すこと

3)女性が働き続けられる環境改善をはじめとする男女共同参画施策のより一層の推進を図ること

 

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