声明書を提出しました

日本学術会議会員候補の任命拒否について抗議し、速やかな任命を求めます

2020年10月15日

内閣総理大臣 菅 義偉 様

全国フェミニスト議員連盟  共同代表 増田薫(千葉県松戸市議会議員)
共同代表 前田佳子(東京都八王子市議会議員)
事務局 伊藤正子(埼玉県川越市議会議員)
〒350-1108 埼玉県川越市伊勢原町5-5-3  グリーンコモンズ川越1-204  伊藤正子気付

日本学術会議会員候補の任命拒否について抗議し、速やかな任命を求めます

全国フェミニスト議員連盟は、女性議員を増やして、男女平等社会を実現しようと活動している市民と議員の団体です。日本学術会議はジェンダー分野でも活発な提言活動を行っており、当連盟は敬意をもって注目して参りました。

その日本学術会議が新会員として推薦した105名の研究者のうち6名が、内閣総理大臣により任命されませんでした。

日本学術会議は10月2日の総会で「推薦した会員候補者が任命されない理由の説明」と「任命されていない方についての速やかな任命」を求める要望書を決定し、翌日、内閣総理大臣宛てに提出しています。

日本学術会議は「科学が文化国家の基礎、であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法前文)ことを使命として、過去の戦争の反省に立って設立され、「独立して」(日本学術会議法第3条)職務を行う機関です。

会員が選挙から内閣総理大臣の任命制に変わった1983年、中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と国会で答弁したように、その独立性・自律性は歴代首相も政府も認めています。

ところが、10月6日、「首相は任命権者として学術会議に人事を通じて一定の監督権を行使できる」と明記された文書(日本学術会議法第17条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係について内閣府日本学術会議事務局 2018年)に基づいて、官房長官は「法解釈の変更ではない」と述べました。これは先の国会答弁と矛盾します。

 総理が、法解釈をねじ曲げてはならないのは当然ですが、任命拒否の理由を明らかにしないことは、多くの人に勝手な憶測や為政者の顔色をうかがう忖度へと追い込む恐れがあり、総理は、任命を拒否した具体的理由、エビデンス(根拠)を明らかにすべきです。

また、その後、菅総理は名簿を見た時点で99名だったと回答しましたが、仮にそうならば、総理が名簿を見る以前に6名を除外した人がいたはずで、誰がどんな権限で除外したのか、明らかにすべきです。

権力者の恣意的な判断は、憲法に保障される「学問の自由」や「言論の自由」を脅かすだけではなく、表現活動や報道の自由への政治介入の第一歩になりかねません。これが国の行く末を誤らせるだろうことは歴史が示しており、断じて看過できません。

以上から、今回の任命拒否に強く抗議するとともに、以下の2点を強く要望いたします。

1.会員として推薦された105名の内、任命されなかった6名を直ちに任命すること

2.6名が会員推薦名簿から消された経過と理由を国民に説明すること
以上


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