ゼロ撲2019年度活動報告 -女性ゼロ議会訪問並びにヌエック報告-

2019年度のゼロ撲の活動について報告いたします。

2019年度女性ゼロ議会訪問

・国東市訪問:201985

国東市は、一市三町が対等合併をした緑豊かな市です。4月の統一地方選挙では、定数18人のところ、21人立候補、女性はトップ当選のおひとりのみ(3期目挑戦の方)でした。私たちが訪問した「来浦ぐらんま」の藤沢真由美社長は、元市職員で、「高齢者の生きがいづくりの構築」と「商工業の活性化」を目指して、女性を中心とした事業を展開しています。20193月の県議会選挙(1人区)に挑戦、残念な結果でしたが、次期も出馬予定のとのこと。ぜひ、頑張ってほしいです。

なお、同時期に行われた国東市長選挙でも女性候補者が奮闘。こちらも残念ではありましたが、少しずつ、変わっていく予感がします。

 

・杵築市訪問

国東市に隣接する杵築市は、2011年に公明党の女性議員がトップ当選した以降、2015年も2019年も女性立候補ゼロです。定数18名のところ、毎回21名程度の立候補者があります。お話を伺うと、古い城下町気質が残る町で、地域の代表が議員になる慣行があり、女性だとたたかれる、などというものでした。しかし、「女性候補者を擁立しよう」との動きはあるので、ぜひ、次回に期待したいところです。

 

・天草市訪問

天草市議会も定数26名のところ、今回もまた前回も女性議員ゼロでした。天草市の男女平等担当課長さんが、熊本市で行われたサマーセミナーに参加されたことで、セミナー終了後、会場ロビーで交流しました。行政としては、女性の政治参画が少ないということに危機感をもって、いろいろな企画を行っているとのことですが、まだ、その実が結実していないところです。フェミギの会員に天草出身の方もいらっしゃるので、次期(2022年)目指して、いろいろな角度から候補者選びやサポートを展開できればと思いました。

 

2019年度男女共同参画推進フォーラムワークショップ

日時:2019年8月31日(土)10時~12時
場所:国立女性教育会館研修室
参加者:45名
タイトル:女性議員に何を期待する?-「女性ゼロ議会」大脱走―

2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法」が成立後、最初の地方統一選挙が2019年4月に行われました。私たちは、女性議員を増やす、ということを大きな活動目標にしてきていますが、統一地方選挙後、女性議員地図はどのようになったでしょうか。詳しいデータは、市川房江記念会発行の「女性参政資料集全地方議会女性議員の現状」を参照のこと。簡単な報告を行いました。
 

全国フェミニスト議員連盟ヌエックワークショップ資料(2019年8月31日 陣内作成)

【2019年4月統一地方選挙後の全国ゼロ議会状況】

①道府県議会の状況(1都1道2府43県)

1)女性議員ゼロ議会は解消されている。

2)2676人定数に対して、女性議員303人

前回比(非改選も含めて)41人増。割合も10%→11.3%へ しかし、女性議員割合が20%以上なのは、東京都と京都府のみ

 

市議会の状況(813自治体)

・女性議員ゼロ議会は、50議会(2015年現在6.2%)
1)依然としてゼロ議会:14議会(北海道三笠市、岩手県八幡平市、宮城県栗原市、石川県珠洲市、山梨県大月市、静岡県下田市、愛知県みよし市、兵庫県養父市、奈良県桜井市、福岡県嘉麻市、長崎県平戸市・雲仙市、熊本県天草市、大分県杵築市)

2)女性立候補者がいない場合がほとんど(福岡県嘉麻市以外)。

・女性議員ひとり議会は、142会(2015年現在、ただし、補選で増えたところは除く)

1)ゼロ議会になったところ:11議会(北海道岩見沢市、芦別市、岩手県大船渡市、茨城県常陸大宮市、静岡県御前崎市、奈良県御所市、香芝市、徳島県阿波市、長崎県壱岐市、大分県津久見市、鹿児島県阿久根市)
*政党が議員交代で、女性議員の交代で男性を出す場合が、4件ほどあった。
*女性立候補者がいない。
*現職女性議員が立候補してダメな場合は、1議会ほど。現職の立候補なし

2)現状のままひとり議会:79議会

3)2人になった議会:41議会

4)3人以上になった議会:11議会

 

町村議会の現状(928自治体)

・女性議員ゼロ議会は、318議会(2015年現在34.3%)
→どこまで減らすことが出来たか、今後の調査結果をまつ。

 

<選挙結果の考察私見>

・女性議員ゼロ議会に新人女性が挑戦した場合、ほとんどの場合、当選している。当選確率は極めて高い。
・定数減になったところは、女性議員が一人の場合、当落に影響あり。
・政党議員が交代の場合、女性議員の場合は女性候補者擁立を強く政党に求めてほしい。
・市議会レベルで無投票が7自治体。投票率のアップと関心をたかめることが必要。
・無所属女性議員の交代のノウハウを蓄積し、共有する必要がある。EX八王子市無所属議員陣内やすこの失敗
・特に無所属女性議員の場合、ネットワークでの情報交換が必要。EX全国フェミニスト議員連盟の課題
・女性が女性を応援するキャンペーンが必要。しかし女性なら誰でもいいわけではない。

ワークショップでは、女性ゼロ議会に挑戦をし、みごと「大脱走」を成し遂げた2自治体から、応援者の立場、候補者の立場それぞれの闘いのノウハウをお話しいただきました。誰を候補者に選ぶか、それには、本人の「やってみよう」という意欲と、この人なら、という周りの確信が大事とのこと。

また、候補者としては、やはりご本人が、政治を自分事としてとらえられているかどうか、が大きなパワーの源であり、多様な若い世代への政治的関心を高めるためにも、選挙事務所に子どもの遊び場を作るなど、工夫をされたとのこと。

そして、立教大学研究者で、ひとり親世帯が抱える住宅事情に取り組んでこられた、葛西リサさんからは、女性議員に期待することとして、母子世帯の居住の問題改善には、保育や就労のサポートなど、住まいとケアをセットにした生活支援が欠かせないとのお話でした。また、さらに今ある社会資源を積極的に利用できるようにしてほしい、との期待も寄せられました。(陣内文責)